でっきぶらし(News Paper)

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203号(2011年12月)2ページ

≪あらかると≫「頑固」なお嫁さん

 天高く馬肥ゆる秋、みなさんも腹周りに十分注意してください。
 ホッキョクグマのロッシー君、夏頃から馬肉の食いがだいぶ落ちて来て、それまでは毎日十六キログラム食べていたのが、梅雨が明けたとたん約半分くらいの量しか採食しなくなり、担当者は肉を食えと、けつをひっぱたいています。とは言っても大好きな種類の部位ではなくロースばかり(動物園に入って来るカナダ産の馬肉は現在脂肪五パーセント未満のロースが主)。大嫌いな肉は口に合わず、それでも野菜、魚はよく食べる。前食べていた脂ののった肉が食べたいよ〜と担当者に眼でアピールしている様子です。やっぱり肉を食わないもんで、毛は夏毛のまますり減って所々黒い地肌が出て来て、今にクロクマになってしまうのか今から心配です。これも静岡は温暖なせいか、これではお客様にこれがホッキョクグマですと紹介できなくて、悩みは尽きません。
 話は変わってこの紙面を読んでいる方はメスの事が気がかりだと思います。そもそもメスを入れる事を担当者が聞いたのは七月の中頃でした。どこから入る?餌何食っている?人慣れている?行動的?昼寝形?なんにも知らされていない状態でした。しばらく経ってから少しずつ分かって来るといった状況でした。
 タイから来るってさ〜。まあ、なんとかメスを導入することとなりました。搬入した時は箱のサイズが写真より小さく、間口に合わず苦労しましたが、ようやっと部屋に入れることができ一安心。餌をやってそれ食ってみろと言っても輸送の疲れで、そう簡単には食べません。
 次の日に見に行くとメジマグロの上に糞をしている始末。名前を呼んでも知らんぷりで、本当に人馴れしているのか疑いたくなります。部屋の中で糞まみれで汚いから室内プールに入れてやればそこから出てこないし、しょうがないので部屋の温度を変えて出そうとしても変化はありません。プールの水を抜いてみたり、絶食させたり、いろんな手を試し、そんなことをしていたらいつのまにか40日過ぎてしまいました。
 こうなったら根競べなんて言ってたら、ひょこりと部屋に戻っている始末。最初に戻り今度は部屋でしっかりと餌を食べることを覚えてから、通路に出入りすることを教えて、室内プールとの行き来できるように仕込み、その後はのんびりと放飼場に出すのが予定でございます。いつまでかかるのかまったく不明ですが気長に見守って下さい。

飼育担当 田地川 恭仁

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