210号(2013年02月)2ページ
小型サル舎コモンマーモセットの赤ちゃん
昨年の12月に小型サル舎において、コモンマーモセットの双子の赤ちゃんが誕生しました。
お客さんからは、少しだけ見にくいかもしれませんが、獣舎の中央あたりにある窓を「ジィ~ッ」と、覗くと中にはバックヤードと呼ぶケージが立ち並んでいます。その真ん中に見えるケージの中にいます。ここは一番日当たりの良い場所であり、この寒い時期には絶好なポジションといえるでしょう。
このペアは夏頃から繁殖目的のため、同居を試みており、出会ってすぐにも雄が雌の隣へ並ぶように寄り添ったりして、案外、お気に召したようで雌もこの雄を嫌うことなく、一緒にくっついて相性が良好でした。エサの採食の時も、取り合ったり、一方が威嚇してしまうという事もなく平和であり、いわゆるラブラブな熱いカップルでした。
そんな日々が数ヶ月続いたある日、雌に変化が現れ始めました。お腹がぷっくりと膨れて可愛らしい体系に変わってきたのです。その時期と平行に採食量に変調が見えてきて、パンがゆという、いわゆるパンにミルクを浸し、ゆで卵の黄身を混ぜ溶いたものを1日2回与えていますが、食べ残すことが多くなりました。日を追うごとに、その他の果物系のエサも若干、食べ残しが目だってきました。飼育係りとしては、少々心配になってきましたが、特に弱っている状態などは見られませんでした。
しかし、あまり行動的ではありませんで、巣箱の上にて猫のように丸くなっていたり、止まり木の上で「トンッ」と身をおいている様子でした。すでに、妊娠は決定的であり、あとは、健康な赤ちゃんを生んでママも無事でいてくれさえすればいいと祈りながら、日々大きく変化するお腹を見守っていました。
12月に入り、いよいよと思っていた頃、7日に元気な双子の赤ちゃんが生まれて、母親となった雌の背中や脇にしっかりくっついていました。その姿は胴回りが厚く、まるでダウンジャケットを着ている姿と表現すれば良いのでしょうか、モコモコとしたなんとも愛くるしい姿です。見ていて飽きません。しかし、長い間ジロジロと見ていれば、さすがに母親のヘソが曲がる恐れがあるので、我慢、我慢でチラ見の法則です。笑。出産後はかなり体力や栄養を消費しているので、エサの量は通常より約1・5倍ほど多めに増やして他のサルよりも早目に与えています。「お乳を、おなかいっぱいもらえよー」って・・・願いを込めて。
小型サルのマーモセット又は、タマリン系は家族で育児をするのですが、このペアも新米の父と母が交代で赤ちゃんを抱き、協力し合い育てています。一例として、父が赤ちゃんをおんぶや抱っこしている間に母がゆっくりとエサを食べていたり、巣箱の壁に身をまかせ、体を休めたりしています。1日に数回は、巣箱の奥でこっそりとお乳をあげていたりと、上手に育てていて、見守っているこちらも不安を忘れ「ホッ」と、胸をなでおろしています。
1週間を過ぎますと、今までぴくぴくと小刻みに動いていた赤ちゃんも、親の背中から「ムクッ」っと、顔を上げたりして「眠たいんでちゅ~」っと、伝えているような表情を見せてくれました。又、お腹がぺこぺこでお乳をおねだりしている時は、「ミュ~ ミュ~♪」と、大きな声で鳴き母親に「ママ、ここにいるよ!」って、猛アピールしています。静かになった時は、お乳を飲んでいる証し。とっても、可愛いです。この頃の赤ちゃんの模様は成獣とは異なり、全身の毛が灰色に覆われ、黒と茶褐色の斑模様が見られます。黒い瞳はパッと大きく開いていて成長すると茶色に変わってきます。最近では、親から少しだけ離れられるようで、止まり木の上をちょこんと、座ってみせたり、慎重に歩いてみたり、格子の壁を横に移動してみせたりと、成長も然(さ)る事ながら、学習力も旺盛です。1ヶ月を過ぎ今現在、頭同長は大体、7センチで尻尾も同じくらいの長さです。毛がモコモコで、とっても可愛い双子のコモンマーモセットの赤ちゃん、このまま、すくすくと育ちますように。
動物担当 青木 光生