でっきぶらし(News Paper)

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210号(2013年02月)6ページ

スポットガイドだより

≪11月21日 マサイキリン≫

 11月21日(日)14:00より、マサイキリンのZOOスポットガイドを行いました。
 マサイキリンのスポットガイドは、過去に何回か開催してきましたが、今回は従来とはやや違う状況で、その状況の違いが何かと言えば……1ヶ月前に当園にやって来たばかりの♂のキリン、ナナスケがキリン舎に加わっていた事です。
 ナナスケは2012年11月21日現在で1歳5ヶ月。北海道にある丸山動物園から永い時間を掛けて当日本平動物園に移送されてきた、小さな、まだ子供と呼んで良い個体で、当園にいる12歳の♀のキリンのリン(判りやすい反面、ややこしい名前ですが)のお婿さんとして迎え入れられました。
 前文を読んでいただけると良く判りますが、この2頭、その年齢差が10、5歳!…従ってどんな現象が起こるかと言えば、幼獣のナナスケが成獣のリンを慕って、ベタベタと四六時中リンの後を追いかけ回す…事になるのです。
 人間で言えば、少し不謹慎な表現かも知れませんが、【熟女と小学校低学年のおぼっちゃんの組み合わせ】の様なもので、ナナスケはリンのお婿さんと言うより、現時点ではリンにとって、何処からかやってきたちっちゃい男の子なのです。
 ですからナナスケは『おばちゃ~ん!おばちゃんおばちゃんおばちゃんたらぁ!あのねぇボクねぇぇ!』といった感じで金魚の糞の様にリンにくっついています。
 この状態で開幕した今回のスポットガイド…おばちゃん(リン、失礼!)にいつもべったりの癖に、来園してまだ間が無いナナスケは、担当者が流暢にガイドを始める前から警戒してガイド会場に近寄って来ず、集まってくださった参加者の皆さんを遠くから怪訝そうに、しかもボーッと見つめているだけでした。その点、リンの方は当たり前ですが堂々としたもので、飼育歴数十年のベテラン担当者が、キリンの身体の特徴や色々な逸話を皆さんに紹介している間もしっかりと人々の傍にいて、大人しく落ち着いた姿を見せてくれていました。
 ガイドのラストに行った【キリンに葉っぱのプレゼント】でも、リンは長い舌を使って参加者の皆さんから上手に葉っぱを受け取っていましたが、ナナスケは相変わらず離れた場所から、やっぱり怪訝そうにボーッとその様子を眺めているだけで…まあ、色々考えるとそれも無理はないなぁと思いつつも、もう少し男の子らしい振る舞いを見せて欲しかったと……私(スポットガイド班長)もナナスケに釣られて彼をボーッと見ながら思いました。
 …さて、念の為に。スポットガイドそのものは、大成功でした。はい。

≪12月16日 シロサイ≫

 12月16日(日)13:30より、シロサイのスポットガイドを行いました。
 今回のガイド担当は、2012年12月16日現在で飼育歴1年に満たないの新人男性飼育員。…とは言っても、動物に関する知識は豊富に持ち合わせている人材で、自身でのスポットガイドは今回が初めてでしたが、実に流暢に解説・説明を行ってくれました。
 さて、シロサイは、今までこのコーナーで取り上げてきたホッキョクグマやアムールトラと同じく、乱暴に言ってしまえば人類のエゴでその数を急激に減少させた動物で、その減少の主な理由となったのが、人間達の【遊び】の為の狩りや、彼らが持つ角を目当てにした乱獲でした。特に、後者の、角を目当てにした乱獲は酷いもので、この角をどうして人間達が求めたかと言えば…以前お話ししたアムールトラの骨の件と同じ理由…漢方薬の原料にする為です。一説によると、サイの角は毒消しや優れた滋養強壮剤に成ると信じられ、一時期、【同じ重さの金(きん)】と引き換えに取引きされていたそうです。
こうした、言っては何ですが馬鹿げた理由で、サイ達がどんどん殺されていった歴史的経緯を視ると、改めて一部の人類が冒してきた愚行が焙りだされてきます。
 人類と言う【種(しゅ)】は、いつになったらこうした愚行や蛮行をやめる事が出来るのでしょうか?
 目の前でのんびりと歩いているシロサイ。それを見ながら微笑む人達。
 そんなガイド参加者の皆さんの微笑みを見つめながら、おそらく、こうした姿こそが本当の人類の姿であるのに……と私(スポットガイド班班長)は感じ…更に、今回のスポットガイドは、そう感じた事で今まで以上に意味深いものになったなぁ…と思いました。……加えて 最後に、ガイド担当者へ。
 凄く内容のある、見事なガイドでした。

ZOOスポットガイド班長 長谷川 裕

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