241号(2018年04月)4ページ
週に2回のへんてこりんな動物
昨年の4月から担当する動物が少し変更になりました。主担当のアジアゾウは変わりないのですが、オスとメス1頭ずついるオオアリクイを週に2回正規の担当者が休みの時に、担当することになりました。
アリクイ自体は、このところテレビの某コマーシャルで御存知の方もいらっしゃる事と思いますが、コマーシャルで使われているアリクイは、ミナミコアリクイで当園のオオアリクイとは少々異なる動物です。
このオオアリクイは、未だに奇妙というか、変わった動物だなと思います。
まず、朝一番部屋に入ると部屋の中の臭いを嗅いでみます。何故かというと、オスの個体がフンをしているかどうか?を確認するからです。今は慣れつつあるのですが、かなり強烈な臭いがします。フンが少し軟らかいときなどは結構な悪臭を放つため、朝一番から悪臭の元を掃除するのは、仕事とはいえなかなかしんどいものです。逆にフンをしていない時は、少し得した気分になってしまいます。
アリクイのエサは作り方が変わっていて、ドックフード、馬肉のミンチ、ヨーグルト、牛レバー等々をお湯と混ぜ合わせ、ミキサーにかけます。すると、ピンク色をしたドロドロの液体となって出来上がり。それを与えると奇妙な食べ方をします。ながい舌でペロペロとしながら採食。歯を持たない動物なので、舌でこのようにしないといけないとは思いますが、器用に黙々とたいらげてしまいます。
日中の過ごし方は、オスとメスで全く異なっており(当園の個体に限ります)、オスは昼間活動していて、夜は寝るというタイプで、我々と似た時間で活動します。メスは全くの逆パターンになり昼間は寝て過ごすことが多く、夕方頃になると活動しだすタイプのようです。今は昼間でも寒いので、風が強いときなどは運動場に出さないこともありますが、夏などは朝から運動場に出てほしいのですが、これがまたテコでも動かないといった感じで、自分が出たくなければ丸くなったまま寝てしまい、一日を部屋の中で過ごして今います。ですから、朝起きている時はエサを食べ終わるのを待って、食べ終わったら寝てしまう前に運動場に出るように促すのですが、本人にあまりその気がないものなので、木製の盾を使って出てもらいます。起きているからと思って油断して少しでも目を離すと丸くなって一瞬で寝てしまうので、私もアリクイ舎の中で朝からバタバタしています。
日中、少し時間がある時などはアリクイ舎に足を運ぶようにして、少しでもこの得体のしれない動物を観察したいと思っているのですが、この記事の始まりにかいたように私がオオアリクイの飼育をするのは、週に2回ほどなのでなかなか観察できずにいます。時間をかけてゆっくり飼育できればおもしろい動物だろうといつも思いながら仕事をしています。
少し前に当園で生まれたこどもが死亡してしまいましたが、もし、また生まれるようなことがあれば、来園者の方にも喜んでもらえますし、私たち飼育担当者も励みになることと思います。母親の背中に乗ったオオアリクイのこどもを、皆さんに見て頂けることを目標にこれからもアリクイ舎の掃除をがんばります。
(児玉 賢之)