246号(2019年02月)7ページ
実習生だより
宮崎大学 4年 阪口優衣
先日お世話になりました、宮崎大学の阪口優衣です。お忙しい中、実習を受け入れて下さってありがとうございました。実習に行きたいと思ったきっかけは、SNSやホームページで読んでいた飼育員さんと獣医さんが書かれている飼育日誌でした。よく観察されていて、動物への愛が伝わってきて、園内のたくさんの動物とどのように関わっているのか見てみたいと思いました。
実際に実習をさせていただいて、日本平動物園の獣医さんは動物との時間や飼育員さんとの会話を大切にされていると感じました。その日その日で仕事内容は異なるのですが、毎日朝と夕方には園内を巡回して、動物たちの様子を伺ったり、糞便の状態やにおい、食べ残しの量に異常がないかを見たり、担当の飼育員さんからお話を伺っていました。飼育員さんも獣医さんもすごく動物を観察されていて、動物園で働くには動物の小さな変化にも気づける観察力が大切だと感じました。加えて、動物園には展示されている動物の他にバックヤードにいる動物がいて、野生動物も保護されています。臨床の現場とは違い、多種多様な動物がいる動物園だからこそ、治療が難しく悩むことも多いとうかがいました。それぞれの動物に最適の処置をするためには幅広い知識、そして考える力が必要だと感じました。
日本平動物園の獣医さんの仕事場には、動物病院と飼育の2つがあるそうで、1日中型サルの飼育実習もさせていただきました。ごはんの準備や部屋の掃除など、体を使うことが多くて大変なところもありましたが、それ以上にサルのかわいさが盛りだくさんで、癒されながらの実習でした。後ろの通路を歩いているときに覗きながら手をのばしてくるブラッザグエノンやお尻をむけてくるマンドリルが本当にかわいくて、サルに魅了された1日でした。
また、人工保育で育ったチンパンジーを近くで見せていただく機会がありました。まだ1歳で、幼い顔つきで愛らしくて印象的でした。獣医さん飼育員さんからも可愛がられているようで、ふれあう機会のある獣医さん飼育員さんが羨ましくも思いました。ところが今後家族のもとへ帰す時のことを考えて、人慣れさせてもいいのか考えなければいけないことも教わり、当たり前のことだけどそれを考えられなかった自分はまだまだ未熟だなと感じました。例えばゾウなら、人に慣らしてトレーニングすることで危険を伴う治療も怪我をするリスクが低くなり、健康管理もしやすくなります。一方で、人工保育であれば群れに戻すことを考慮して接しなければいけないこともあります。お客さんとして動物を見るのと獣医として動物を見るのは全然違って、人の安全や動物の今後のことなど、色々考えなければならないことがあることを改めて感じました。
ある日はイベントのお手伝いを一緒にさせていただきました。動物園はお客さんに楽しんでもらう娯楽の場であったり、動物について知ってもらう教養の場としての役割もあることを思い出し、治療だけでない動物園獣医さんの仕事の幅広さを感じました。
最後になりましたが、今回実習でお世話になった獣医師の方々、飼育員の方々、貴重な体験をさせて下さって有難うございました。毎日が新鮮で、あっという間に終わってしまう1日で、疲れを感じないくらい楽しかったです。ずっと憧れている動物園の獣医さんのお仕事を隣で見させていただけて、たくさんお話もできて、進路を考える上ですごく勉強になり視野が広がりました。みなさん本当に優しくて、いつかここで働きたいって思うような、獣医さん飼育員さんの動物愛が感じられる素敵な動物園でした。5日間本当にありがとうございました。