248号(2019年06月)5ページ
初めまして!ジャガーの女の子(続き)
棒に丸い球を付けて、そこに鼻先をあてる(吻タッチ)と餌をもらえるという練習をすることで、動物に麻酔をかけずに爪切りが行える方法です。そこで小助くんのターゲット棒を借りて、ジャガーちゃんの前に差し出すと「クンクン、これ何だろう」、案の定興味を示してくれました。
この時点で人がいてもエサ入れにお肉を置くとすぐに食べ始めるようになっていたので、試しにトングで細かく切ったお肉を口元に持っていくと「パクっ」「お、食べてくれた」。ターゲットに吻タッチしたらお肉、を繰り返し、あっという間に習得です。「若いと順応性が高いなあ」ふと頭によぎります。「注射、打てないかなあ」
血液検査をして猛獣館に移動するとき、ジャガーちゃんに麻酔をかけないといけません。スクイズの檻は可動式なので檻を狭めれば注射が打てるのですが、中で暴れてけがしないか心配です。かといって至近距離で吹き矢も使いたくないし。そこで、吻タッチして餌を食べている間に、後ろ脚をつんとつついてみることに。当然「何?」と動きます。今度の月曜日に麻酔をかけて最終検査をすることになっていたので、「あと3日で注射トレーニングを・・・」2人でやってみたりしましたが、つつかれるので体を横にしない。当たり前ですがそこまでトレーニングできる日にちがなく、結局スクイズを使って注射しました。「せっかく慣れたのに、最後に嫌われちゃった・・・」
ジャガーちゃんはおかげさまで健康状態良好で検疫を終了し、4月8日に猛獣館に移動しました。獣医師が動物のお世話に専念できるのは検疫室にいるときくらいなので、獣舎に行ってしまった寂しさがありますが、無事に新着動物を飼育担当者にバトンタッチできたという安堵感で、ほっとする瞬間でもあります。ジャガーちゃんは猛獣館の部屋で早速ターゲットに反応したそうで、飼育環境変化の中少しでも安心できる材料になったなら「病院で遊びながらターゲットに馴らして良かったかな」と思っています。名前は公募で決定します。この号が出る頃には決まっているでしょうか。皆さんに末永く愛されますように。
(松下 愛)