でっきぶらし(News Paper)

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80号(1991年03月)2ページ

あらかると

★オランウータン ジュンのやきもち

 オランウータンのジュン(オス)は、ベリー(メス)が大人の兆しを見せ始めた頃より独占欲を示し始め、時にベリーが女らしくなった最近はその傾向が強くなっています。
 以前はそうでもなかったのですが、私が朝にキーパー通路でベリーの体温を計っていると、その間オリの境のところからジュンはじっと見つめています。
 あまりにものしつっこさに、私は「安心しろ、俺は女房ひとすじ、体温を計る為にしょうがなく抱いているだけだ。仕事だ、仕事。」と言ってやるのですが、どうも分かってもらえないようで残念です。
 それと、体温を計り終えると、今度はベリーの手・足・お尻と異常がないか確認するのですが、ジュンにしてみればあまりにもの従順さに苛立っているようです。ひょっとすれば、傷つけているかもしれません。
 同じようなことを放飼場に出してからやろうとベリーを呼んでも、ジュンはベリーが私のところへ行かないように手をはらったり、体を押したりします。それでもベリーが行こうとすると、ベリーの手を引っ張って奥の方へ引きずって行ってしまいます。
 そして、私をにらむのです。この独占欲があれば、近い将来に妊娠、出産も夢ではないでしょう。皆さん楽しみに待っていて下さい。
(池ヶ谷 正志)

★ゾウに竹を与えれば…

 ゾウが竹でも食べていればその間は寒さも忘れるのではないか、と人間的な考えからですが、昨年の十一月頃より一日一本の割合で与えています。食べるのに費やす時間も長く、お客様の受けもけっこうよいのです。
 竹をズルズル引きずって持って行く間にもいろいろな反応があります。「あれはレッサーパンダにやるのだろう」とか「ササで何をやるの」とかです。時には子供が悪戯をして竹の先をちょこんと唐?で、急に止められてしまうこともあります。興味深々の幼児達、後をついて来る事もあります。
 ゾウ舎の前に到達すると、今度は周囲のお客様がどっと押し寄せます。「へえーっゾウが食べるの、竹なんか食べないと思っていた」等と驚かれます。では、「野生では何を食べていると思われたのですか。」とちょっぴり意地悪な質問をしたくなってきます。
 放飼場に三つぐらいに切って投げ入れるのですが、こんな時にもお客様の反応があります。「堀に落ちたら拾えるのか」とか「向こうまで届くのか」とかです。
 ついついどうしても放飼場に投げ入れなければならない気分にさせられてしまいます。太いほうはすんなり投げ入れられるのですが、葉のついたほうは風の抵抗でどうしても堀に落ちてしまいます。ここでもお客様は何のかんのと言われます。ゾウが鼻を伸ばして拾うと、これまたわあわあです。
 ゾウはまず葉をしごいたり、また葉のついた枝を折りながら口の中に入れて行きます。それを見ながらお客様は「太いところは食べないでしょう」と質問されます。「あれも食べますよ」の私の返事に凄いと感心。
 「あの太いところは足で唐ンつけバラバラにしてさらに足でおさえて鼻で持ち上げて折ります。そうして竹の内側の白い部分をうまく取り、口の中に持って行くのです。」私の説明を聞いて、かつそれを目の前にして、お客様はお腹がどうにかなるのではと心配されます。「確かに竹を手で引っ張ったりすると、手が切れたりします。それを口の中に入れるのですから多少切れているようです。でも口の中の傷は治りも早いようです。ご覧のように全部の竹をたべてしまい、夕方掃除するときには緑の部分が少し残っている程度になってしまうのです。
 私のこの説明で、お客様共々読者の方も納得して頂けるでしょうか。
(佐野 一成)

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