でっきぶらし(News Paper)

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257号(2020年12月)5ページ

ジャガーのお見合いについて or ジャガーのお見合いのお話

 去年の4月に来園したジャガーの小梅が10月25日で2歳になりました!毎日たくさん遊んで元気いっぱいの小梅ですが、もともとはオスの卯月小助くんのお嫁さん候補として来園しています。今回は2頭のお見合いの様子についてお話したいと思います。

 2頭のお見合いは小梅が環境に慣れてきた去年の5月末ごろから始めました。最初は3部屋ある寝室のうち、両端の部屋を使い、1部屋ぶんの間を開けた状態で、朝の出舎前に5分程度の時間で始めました。寝室には窓がついているので隣の部屋は窓越しに見ることができます。最初の5日間は2頭とも窓から凝視し合っていたのですが、6日目以降、出舎していく小梅のことを、小助が扉の隙間からじーっと見たり匂いを嗅ぐようになり、扉越しに小助の気配に気づいた小梅も小助の部屋の扉の前から動かなくなってしまったり、お互いに扉を叩き合ったりしてなかなか大変でした。2週間くらいすると慣れてきたようでスムーズに出入舎ができるようになり、お互いのことを認識してくれたようで安心ました。寝室の窓には頑丈な柵がついていますが、小梅がまだ小さく、柵から前足が出てしまいお互いに危険なため、このまま半年くらい続けました。

 1部屋開けたお見合いが落ち着いてきたので次は隣部屋でのお見合いをする予定でしたが、小梅が1歳になってもまだ体格差があったので、窓についている柵に網目の細かい柵を新たに取り付けてもらい、今年の1月末から隣部屋でのお見合いを始めました。

 隣部屋でのお見合い初日はお互いにソワソワした様子でした。小梅を通路に出すとすぐに隣部屋に入ろうとしましたが、窓から小助が見えてびっくりしたのか一旦通路に戻ってきました。その後、警戒しながら部屋に入り、窓のところまで行くとお互いに匂いを嗅いでからすぐに前足でバンバンと柵を叩き合い、しばらくすると離れるのを繰り返しました。威嚇したり、唸ったりする声は聞こえませんでしたが、終盤になるとお互い柵を叩く前足に力がこもってきて激しかったのが印象に残っています。匂いを嗅いだところまではいい感じかも!と期待していたのですが、やはり、そう簡単な話ではありません。この隣部屋でのお見合いは休園日に行い、回数を重ねるうちに力任せに柵を叩くことはなくなりました。最初は喧嘩のように見えていた柵の叩き合いも、小梅がじゃれつくように頭を柵に擦り付けてから軽く柵を叩くようになり、遊んでいるような感じに変化していきました。その日の気分によって小梅が小助に怒ったり、小助が小梅に向かって助走をつけて驚かしたりで、一進一退という感じが続きました。

 休園日に行っていたお見合いですが、新型コロナ対策で長期休園となった間に毎日30分~1時間かけて行うことができ、合計32回のお見合いを経て、5月中旬から夕方に小助を小梅の隣の部屋に入れて、常にお見合いができる状態にまで進展しました。

 常にお見合いができる状態になってしばらくすると、小梅に発情と似たような兆候が見られるようになりました。小梅は発情するとよく鳴くようになり、柵に体や顔を擦り付けながら喉をゴロゴロ鳴らして小助にアピールし、小助が近寄ると今度は喉を鳴らしながら床で寝転がってお腹を見せてゴロニャン(ローリング)を繰り返します。小助も小梅の様子を近くでじーっと見てお互いに挨拶も見られ、なかなかいい感じです!最近はこの発情が月1回のペースで見られるようになってきました。

 施設の点検のため、どうしてもお見合いをすることができない日があり、お互い姿が見えないところで一晩過ごしてもらう日がありました。次の日の朝、様子を見てみると小梅はいつも通り特に変わりはありませんでしたが、小助がすごくソワソワしていて窓から隣の部屋を覗き、小梅のことを探しているようでした。普段のお見合いでは小梅の方からアピールしていたので、意外でしたが、小助もちゃんと小梅のことが大好きだったようです!

 先日2歳になった小梅は、ジャガーとしては親元を離れて独り立ちする年頃です。繁殖適齢期は3歳からと言われているので、2頭の様子を見ながら徐々に進めていく予定です。2頭とも遊ぶことが大好きな暴れん坊で少し心配ですが、ジャガーのオスは紳士的だという噂もありますので、小助がどんな風に小梅をリードしてくれるのかも楽しみですね。これからも相思相愛?の2頭をよろしくお願いします!


(大谷 舞)

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