でっきぶらし(News Paper)

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261号(2021年08月)4ページ

「ペリカン誕生」

 今回、皆様にうれしいニュースをお伝えすることが出来ます。モモイロペリカンのヒナ誕生です。ペリカンが繁殖したのは、当園では今回が初めてのことです。ペア形成から巣づくり、産卵、孵化、育雛と振り返ってみたいと思います。

 当園では、フライングメガドーム内で5羽(♂3、♀2)のモモイロペリカンを飼育しています。ペリカンは、野生では群れで生活し、コロニー(集団繁殖地)を形成します。3月に入ってから、ルタ(今回の♀親)の額にコブが盛り上がったり、顔がオレンジ色っぽくなったりと、繁殖期特有の特徴がはっきりと表れるようになりました。それにつられるように、3羽の♂がルタのそばに近寄り始めます。はじめは、カタックという♂がルタと仲良くしていましたが、急に途中からカッター(今回の♂親)と仲良くなり、互いに鳴き交わすようにもなり、ペアを形成しました。ルタにふられた?カタックは、なぜかマイ(♀)と急遽ペアになり、この2組で小さいながらも一応最小コロニー?を形成し、観察デッキ下の小高い場所へ小枝や土、落ち葉などで巣を作りそこへ座り込む姿が観察されるようになりました。こちらとすれば、初めてのことですし、「おぉ、まさか…。どうかな~?」と期待と不安の連続でした。数日後、双眼鏡とにらめっこの日々の中、卵が見えた時は、「おぉーっ!!」と喜んだのもつかの間、数日後カタック・マイペアは、急造のペアだったからか、巣に卵がある状態にもかかわらず、巣を途中で放棄してしまいました。最小コロニー崩壊となってしまった中、残ったカッター・ルタのペアは、それでも必死に卵を温め続け、1ヶ月ほどたった頃、親の足元で動くヒナの姿を初めて目にした時は「まさか…?キターーーっ!!!」と心の中で大絶叫してしまいました。 
  
 今回、ヒナは1羽だけ孵化しましたが、カッターとルタは一生懸命ヒナの面倒をみてくれ、本当にスクスク、というか、あっという間にヒナは大きく育ち、2か月程たった現在では、♀のルタと同じくらいの大きさにまで立派に成長しました。まだエサは親からもらっているヒナですが、もう少ししたら自分でエサを食べるようになってくれるはずです。ドキドキで始まった今年の春は、何物にも代えられない思い出として私の記憶に刻まれていきました。

~追伸~ 
♀親のルタは1980年代後半に園児と遊ぶペリカンとして有名だった、あの「カッタくん」の元パートナーであり、また、マイはその娘でもあります。当時、5羽のペリカンたちを当園に譲ってくれた山口県のときわ動物園様に感謝申し上げます。

(松永 亨)

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