265号(2022年04月)4ページ
動物たちのウンチ、その先の使い道
動物園にはたくさんの動物たちが生活しています。たくさんの動物が生活しているということは、そう、ウンチの量もかなりのもの。1日で出るウンチの量は90リットルの大きなバケツで10個以上。食べ残しなども入っているのですべてがウンチではないですが、それでもかなりの量です。毎日これだけの量を動物園ではどうしているでしょうか?でっきぶらしをよく読まれている方は知っているかもしれません。実はすべて堆肥にしているのです。動物園には堆肥を作る機械があり、毎日そこにたくさんのウンチを入れて堆肥を作っています。
今回はこの堆肥を使って園芸に挑戦してみたのでそのお話をします。挑戦してみた作物はスイカとトウモロコシです。私は現在ゾウの担当をしているのですが、できた作物を当園の2頭のゾウ、ダンボとシャンティにプレゼントしたく、この二つを選びました。園芸に関して全くの素人なのでとりあえず種を買ってきて、そこから育て方を調べてととにかくわからないことだらけです。目標は動物たちのウンチからできた堆肥を使って作物を収穫すること。この目標のため、調べた育て方を確認しながら慎重に育てていきました。育てている期間の話もしたいのですが今回は文字数の都合で残念ながら割愛します。
結果を言うと今回は収穫することができませんでした。スイカはたくさん芽が育ったのに実らず、トウモロコシは栄養不足で成育が足りずものすごく小さい実しかできませんでした。種をまいて芽が出てきたときはダンボとシャンティにプレゼントしたら喜ぶだろうと思いながら頑張ったのですが、いやはや残念でした。2頭にはいずれ今回のリベンジをしてスイカやトウモロコシをプレゼントしてあげたいです。
ところで私がなぜ今回こんな挑戦をしたかといいますと、動物たちのウンチからできた堆肥を使ってその動物たちが食べるものができたら究極のエコだと感じたからです。海外の動物園では実際に餌用の穀物などを栽培する専用の畑を所持していて、そこで収穫したものを動物たちの餌として利用しているようです。もちろんすべての餌をまかなえるわけではありません。それでも動物たちから出たウンチ(堆肥)で動物たちの食べるものを作ることに私はすごく夢があると思います。そう遠くない未来にそんなエコな動物園があたりまえになる時代が来るかもしれません。
(片野 孝太郎)