269号(2022年12月)6ページ
飼育と営繕
飼育員として動物を担当しながら動物園内の営繕の仕事をするようになって、もうすぐ二年が経とうとしています。営繕の仕事とは園内施設の修繕や獣舎で必要な物(例えば巣箱など)を作成する仕事です。つまり二足の草鞋(わらじ)を履いて仕事をしているということです。飼育員としてはふれあい動物園を担当しています。ふれあい動物園の仕事は、担当になる前に想像していたものとは全然違っていました。仕事の内容は細かいことが多く、平日の午前中には、年間を通して行う幼児動物教室という、園児を対象とした動物の飼育以外の仕事もあり、五十歳半ばの身体にはかなりのハードワークです。一日を通して動きっぱなしです。外から見ている時と実際に中に入ってやってみるとでは大きな違いがあるもんだと思いました。これまでの十数年は大型の動物の担当が多く、言い方は悪いかもしれませんが、大まかなことも多くありましたのでそういったことにも戸惑いました。この様な忙しい毎日の中、月曜日に営繕の仕事に回ります。
当園は基本的に月曜日が休園日で、営繕の仕事をするにはもってこいの日です。しかし、自分の中では物足りないというか、もったいないというか、もう少し営繕のための時間が欲しい所です。折角、ベテランから仕事を教わっているというのに、あまりにも時間がなく、やりたいことの半分ほどしか仕事ができていません。自分の残された飼育員としての時間は長くはありませんから、もっともっと多くのことを覚えて、営繕に役立てていきたいと思っています。動物の獣舎で使う物となると、毎回違ったものを作るのがほとんどで、似たようなものを作るにも各動物の担当者が考案しているので、担当者が代わると必要な物も変わってきます。自分としては、担当者がいいと思ったものは、なるべくそれに近いものを作れるようにしたいと思っています。本来であれば営繕の仕事に腰を据えて、じっくりと勉強しながら覚えていきたいところですが、現実にはそうはいきません。電気溶接などは、たまにやってもそうそううまくできるものではありません。しっかりと教わり、技術を身につけていきたいと思います。この先どのようになるかわかりませんが、しばらくはこの状態で頑張っていこうと思います。
(児玉 賢之)