でっきぶらし(News Paper)

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272号(2023年06月)7ページ

病院だより

こんにちは、あるいはこんばんは。今回の「病院だより」は、今年4月から日本平動物園にやって参りました新米獣医が担当させて頂きます。こちらに赴任する前は、25年ほど、小動物(犬、猫)の獣医をしておりました。まだ勤め始めてから1ヶ月しか経っていないので、病院だよりというよりは、私がこれまでの経験で感じたことや今現在感じていることなんかをお話ししようかと思います。

どうやら「死というもの」を意識している動物は、私たち人間だけのようです。幼い頃から、三途の川や仏様という言葉を耳にしてきた私達は、生と死を明確に分け『死=無』『天国か地獄か』と考え、どこかでそれを恐れ、忌み嫌うようになります。しかし動物達はもっと純粋で「『痛い、怖い、不快、不安』=『嫌だ!』」くらいのようです。獣医師=動物の病気を治すという生業は、まさに動物たちにとって「嫌だ!」側の存在なのです。とほほ。

幸せの価値観は人それぞれ、動物それぞれ。ですから「幸せにしてあげるんだ!」なんて、おこがましいことは思っておりません。その代わり「この子にはもっと幸せな人生があるんじゃないか?」と毎日、自分の中で自問自答を繰り返しています。幸せの押し売りではなく、自分への戒めです。

日本平動物園にきてみたら、ここの職員の皆さん(自分の子どものような年齢の職員さんもおられますが)にとって、それらは無意識無自覚当たり前のことのようです。すごい!動物たちにとってよりよいことを日々模索し、日々検討して、日々実行する。某テレビ番組からの引用ですが、「プロフェッショナルとは?」「1つのことに関して、昨日より今日、今日より明日、もっと前に進もう、もっと先を目指そうという努力をいつも自然に楽しんでいる人」。ここはそんな人たちの集まりです。日本平動物園へようこそ。

窪田 庄太郎

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