でっきぶらし(News Paper)

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51号(1986年05月)7ページ

動物園の一年(後編)◎二月 キリン・アヤコの死、ニホンザルの同居、

まだ成熟に達していないキリンのアヤコが、突然死んだ。晴天のへきれきとはこんなことを指していうのでしょう。担当者にしたところで、休みの日に電話がかかってきてびっくり仰天したのです。(四十八号参照)私たちが、キツネにつままれたような気になるのは当たり前のことかもしれません。
前日まで元気でいたのが、昼前にどーんと倒れ(恐らく貧血)そのまま回復することなくあっさりあの世へ旅立ちとあっては、担当者ならずとも、気力が失せ失意に暮れようというものです。その上、解剖しても原因が今ひとつすっきりつかみきれないとあっては、なおのことやりきれなかったでしょう。
ともあれ、トクコは更に次の子を宿しています。育児能力はなくとも、しっかり丈夫な赤ちゃんを生んでくれる期待は大です。次に生まれてきる子に力を注ぐことによってしか、この悲しみは乗り越えられないでしょう。
街の中を徘徊していて捕らえられたニホンザルの雌の子、困ったのはその後の処遇です。恐らく迷い子になって、山の中から遂には「都会」に出てきてしまったのでしょうが、今更山へ返しようがありません。
まあ、それならと思いつき浮かんだのが、当園のニホンザルとの同居。長年、母子二頭でのわびしい暮らしだっただけに、お互いの為にいいのではとの判断からです。
二週間余りお見合いさせてから同居させたのですが、経過は上々。おかしかったといえば、ふた回りも大きい若雄が、雌の子ザルに近よれずビビったことでした。母親以外では初めての仲間、無理はないでしょうか。
フライングケージで新たに飼育されることになったブロンズトキ。東京都多摩動物公園より頂いたのですが、何といっても困ったのは餌。人工飼料で慣らされてきただけに、他のトキ類と同じような餌(アジの切身やオキアミ)で扱えなかったことです。
でも、雑居飼いの中です。互いに刺激しあって、いつしか同じように、同じ餌を食べるようになるでしょう。
他、出産はアクシスジカだけでしたが、母親(当園生まれ)は子の面倒を全く見ない個体で、例によって例のごとく放棄。子はカラスに殺されてしまいました。

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