87号(1992年05月)1ページ
一九九二年 春の話題を追って
動物園の春と言えば、ベビーラッシュ。世界の様々に異なった環境から、いろいろな動物がやってきているのですが、春から初夏にかけての出産、ふ化はやはり目立ちます。
しかし、このところその躍動感をやや失っているように思えます。時代のせち辛らさと言うか、飽和状態になって生ませる訳にはゆかない動物が増えているのも一因でしょう。
ライオン、トラなどのネコ科動物に次いでアメリカバイソンまでもがその仲間入りですから、話題が乏しくなる訳です。一方では、増やしたくともちっとも生んでくれない、ふ化してくれないのが、いっぱいいると言うのにです。
そんな嘆きを吹っ飛ばすのが、野生のパワー。事務所の扉を開ければ、ツバメだのスズメだののひながピーピー、ギャーギャー、かしましいことこの上なしです。
動物病院が面倒を見切れないのでお願いしているのですが、その動物病院も、ハクビシン、タヌキ、キツネの子の保護でてんやわんや。獣医の嘆きはともかく、ここには春の躍動がいっぱいです。