89号(1992年09月)4ページ
カメラが追う悲喜こもごも【キリンよもやま光景】
キリン舎が装いを新たにして半年以上、昔日の面影はもう何処にもありません。でも、四郎はまぎれもなく昔日のキリン舎で生まれ育った子です。
生まれた瞬間はともかく、その後の成長過程の様々を私のカメラはとらえています。絵になるビックな赤ちゃん、逃がす手はありません。生まれた瞬間から飼育係を見降ろす赤ちゃんなんて、キリンぐらいのものでしょう。1.8m、80kgぐらいあり、そこへきて生まれた翌日には足腰はもうピンシャン、あやすどころか遊ばれてしまいます。
論より証拠。今は亡き徳子は知る人ぞ知るぐうたらママ、一頭もまともに育てたことはありません。当然、飼育係が母親替わりです。そこで見せてくれたのがキリンの子が飼育係に戯れる光景。その経緯はともかく愉快な写真としてでき上がりました。
ところでキリンは難産だと聞いたことがありませんか。まことしやかに語られたことがあったそうです。
全くの嘘、でたらめです。が、その理由が奮っています。子の角が生まれながらに生えていて、それが途中でつっかえるからだと、もっともらしいのですから。
生まれながらに角が生えているのは、本当です。でも、頭にピッタリついていて、生まれた瞬間は角があるかどうかは分かりません。
それが成長するに従って、立ち上がってくるのです。一週間ぐらいだと不完全で、「ハ」の文字のような形になっています。完全に直立するまでには、二〜三週間かかるでしょうか。
日付けをしっかりしておけば、更に一例に止めず何例かを追えば、よりはっきり物が言えます。他愛のない嘘も、その証拠によって消滅です。