90号(1992年11月)1ページ
園内の「とり」達
年が改まり酉年となりました。干支を記念する行事として日本平動物園ではお正月の二日間、静岡県日本鶏保存会の協力により日本鶏の展示を行ないました。様々な色、模様の鶏が数十種に及び集められましたが、一言に「にわとり」と言ってもこれ程多くの種類があったのかと驚かされました。
さて、現在動物園では一〇二種三七五点の鳥類を飼育展示しています。最小はハチドリから最大はダチョウまで非常にバラエティーに富んでいます。しかし動物園で飼育されている鳥類はこれだけではありません。
動物園では野生鳥獣の保護も引き受けている為、傷ついたり病にかかった鳥獣、また幼くして巣から落ちたり親から離れた鳥獣が持ち込まれます。鳥類だけで年間平均約四百羽が保護されます。途中で力尽きる個体も数多くありますが、回復し野生へ復帰できるようになるまでは動物園内で暮らすことになります。
また、不法に国内へ持ち込まれた動物も収容されています。野生において保護が必要とされる動物の国際間の移動は通称ワシントン条約と呼ばれる条約により規制されています。これに違反して持ち込まれた動物は税関で押収され動物園へ運ばれます。日本平動物園の場合清水税関からのものがほとんどでその内容は特に、オウム、インコの種類が多く見られます。本来は本国へ送り帰されるべき数多くの鳥達が、ほとんど帰れる希みもなくひっそり暮らしています。
これらとは別に、動物園で飼育されているわけではありませんが、非常に多くの野鳥を園内で見ることがてきます。スズメ、キジバト類はもちろんのこと、二つある池には夏にサギ類、冬にカモ類が多数飛来し、飼育している白鳥、黒鳥、ペリカン等がかくされてしまう程になります。また、運が良ければカワセミ、アオゲラ等少し珍しい鳥の美しい姿を見ることもできます。
園内では様々な鳥が様々な立場で暮らしています。「とり」は十二支の中でおそらく一番種類も多くまた園内で最もたくさん目につく動物です。この機会に、鳥に対象を絞ってじっくり観察しながら動物園を歩くというのも面白いのではないでしょうか。