でっきぶらし(News Paper)

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106号(1995年07月)6ページ

あらかると 「実習を終えて」 

酪農学園大学 獣医学科三年 常木明美
 今回、短期間ではありましたが、動物病院で実習させていただきました。私が動物園での実習を希望したのは、まず様々な種類の動物が見られること、そして自分の進路について少し考えたかったことがその理由です。
 初日、まずは、早朝の鳥類の世話から始まります。普段目にする鳥から名前も知らないような鳥のお世話です。彼らは一体どんな物を食べ、またどこで暮らしているのだろう、などと想像しながら楽しくできました。
 ヒナには、ピンセットで餌を与えるのですが、近寄るだけで口をパクパク開けて鳴く姿は本当にかわいいものがありました。逆にフクロウなどの猛禽類は、私がオリの側にいるだけで、とても緊張してこちらを見ているのがわかりました。そんな彼らのオリの中で掃除をするのは、私もドキドキでした。頭上すれすれの所をバサバサ飛び回り、あの鋭いツメで捕まれたらどうしようと思いつつ、掃除をしていました。猛禽類には生き餌を与えなければならないことが、私には多少気になることでした。餌は、ヒヨコを与えていましたが、ヒヨコを殺したり弱らせた状態にして与えなければ食べられないものもあり、毎回殺すことに対してためらいを感じていました。しかし彼らが生きていく上での活路として仕方がないのだ、自分に言い聞かせながらやっていました。他に、母親が急死したアシカの子に授乳する手伝いをしていましたが、自分からは飲もうとしないのでカテ―テルを入れ、ミルクを与えていました。その為、数日で人間を見るだけで逃げて行くようになってしまいました。それから数日後、アシカは死亡してしまいました。嫌がるアシカに無理矢理カテーテルで飲ませ、授乳させる作業は、私達人間にとっても大変な負担がかかりました。しかし、逆にアシカにとっても相当の負担がかかっていたことは言うまでもないことでしょう。人に慣れない動物、自分では食べることのできない動物には、死ぬことしか運命にないのかもしれません。動物園は野生ではなく、一種の産業動物と言えるのかもしれませんが、一部野生の摂理に相当しても仕方がないのかもしれないと感じました。また、珍獣とも言えるオオアリクイの子が無念にも死んでしまった為、その解剖を見せていただきました。今後、見ることのできないだろう貴重な臓器を細かく見せていただき、スケッチしたり大変勉強になりました。ただ、専門的知識や技術の不足から、作業を手伝う上で、かなりのもどかしさを感じていたこともまた事実です。
 採血や注射も学校で実施したことがないながらも行わせてもらい、私の練習台になってくれた動物には感謝の言葉もないくらいです。何度も失敗しつつも、私の中で身についているように思えました。知識と技術の未熟さが今回の反省点であると実感したので今後、更にいろいろな事を身につけてからまた試してみたいと思います。
 この実習が、これからの私の意識に良い影響を与えてくれることと思います。
 今回、お世話になりました皆様がたに感謝いたします。
 ほんとうにありがとうございました。

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