110号(1996年03月)2ページ
動物の移動ラッシュ
動物園ではいろいろな動物を飼育しています。その中で生まれたり、死んだりと私達の接している動物達はうつり変わっています。生まれた動物の中には、他の動物園に行き、そこで新たな仲間といっしょに繁殖をめざすものもいます。
逆に相手が死んでしまった場合、他の動物園より新たな仲間をむかえることもあります。
こうした移動をする場合、移動中の事故がないように気候のよい時期をできるだけ選ぶようにしています。
今年の冬はとても寒かったので、3月に入り当園でも移動ラッシュとなりました。まずは、小型サル達の移動でした。近親交配をさける為、日本モンキーセンターとサンタレムマーモセットのオスの交換、行川アイランドとピグミーマーモセットのオスの交換を行いました。
そして、シロガオサキのオスを繁殖目的のために日本モンキーセンターに貸出し、逆にシルバーマーモセットのメスを借受けました。(残念ながらこのメスは3月30日死亡してしまいました。)その他当園で生まれたシロガオサキ1頭、クロミミマーモセット3頭、サンタレムマーモセット2頭が他の動物園に移動しました。
続いて類人猿舎にもチンパンジーメス2頭が仲間に加わりました。おっとり型の「ヨシミ」はすぐに仲間にとけこみましたが、ちょっと神経質な「コニ―」は気を使い、お腹や腰のあたりの自分の毛を抜く始末。しかし、オスの「カムイ」がとてもやさしいので、少しずつ仲間づくりはよい方向にむかっているようです。
夜行性動物館内にも変化がありました。まずは、ヨーロッパカワウソ、5年前にオスが死亡した後、ずっとメス1頭のみの飼育をしてきましたが、3月9日広島市安佐動物公園で繁殖したオスを借受け、ようやくペア飼育となりました。当園でもなんとか繁殖に結びつけたいと思っています。
夜行性動物館のもう一つの変化は、ブチクスクスの「ピロ」が4月10日に到津遊園に移動したことです。ブチクスクスが当園に来園したのは二年前の11月でした。パプアニューギニア政府より静岡市に友好親善大使として送られた大切な動物でした。
最初オスとメスの間にトラブルがありましたが、昨年8月繁殖に成功、市長より「ピロ」と命名されました。ピロはその後順調に成育し、オスの特窒ナある体毛の斑点もはっきりしてきたところ、到津遊園より「メス1頭だけ飼育しているので数?貸してほしい」とのラブコール!!その気持ちを受け、到津遊園への移動となりました。むこうのメスとの同居もスムーズにできたとのこと、おめでたニュースを楽しみに待っています。
その他、3月19日にカリフォルニアアシカのオスが鴨川シーワールドより来園しています。新しく入ってきた動物達は、今のところなんとかうまく同居ができているようです。今後、この中から赤ちゃん誕生がどれくらいあるか、楽しみにお待ち下さい。
最後に悲しいニュースを一つお伝えしなければなりません。3年半前繁殖目的の為神戸市王子動物園より借受けていたマサイキリンの「イク」が4月23日に腎結石による尿毒症で死亡してしまいました。とても残念な結果となりました。