110号(1996年03月)4ページ
動物の仕草あれこれ?V(草食獣編)
どの動物の眼が好きかと問われれば、私は迷わず草食獣の眼と答えます。中でもウマやシカの眼は、穏やかで澄んでいてより強く引かれます。二つの動物をつなぐと悪い意味に使われますが、全く悪い冗談です。
澄んだ眼、穏やかさは、草もしくは木の葉を主食とする静かな生活からきているのでしょうが、おとなしいと決めてかかると、思いの外恐ろしいめにあわされます。
例えば、今私が担当しているカモシカ、私ひとりだけで接していれば穏やかそのものですが、誰であれ人を連れてくると態度は急変します。角をがちんがちんとフェンスに思い切り、しかも何度もぶっつけてくるのです。
仲間同士の闘争でも、想像以上の激しさを示します。穏やかな動物だって怒れば恐いのです。肉食獣と違って直接接することが多いだけに、より身に染みる恐さでもあります。そんな草食獣の日常の何気ない仕草や動作を追ってみれば、何が見えてくるでしょう。