72号(1989年11月)10ページ
あらかると【……!!】
月日のたつのはほんとうにはやいもので、平成となって初めての年もあっという間に終わってしまいました。世間でも昭和の時代の終わりを告げるように、各界の有名な方々が次々と亡くなられた年でもありました。
日本平動物園も二十二年、共に歩んできた仲間が、消え、その子供達の時代へと移ってきています。特に三月五日オランウータンの「テツ」の突然死はショックでした。あんなに大きくてがんじょうなオランウータンが、あっという間に死んでしまうなんて…。
そして十二月八日のマサイキリンの富士雄の死。十二月三日の朝、「富士雄の様子がおかしい、餌を食べない。」との連絡を受け、キリン舎にいってじーとみていると、時々力む様子が見られ、その割に排尿がありませんでした。「尿道結石か!!」
キリンは、血圧が高いので、麻酔で倒すと即死に結びつきます。消炎剤、副腎皮質ホルモンなどを吹き矢で投与し、ただひたすら尿のでるのを待つしかありませんでした。結局、最悪の結果となってしまい、あらためて無力さを感じました。
(八木智子)