118号(1997年07月)9ページ
あらかると 「ペンギンの子育て」
当園のペンギン池では、フンボルトペンギンがスイスイ泳いでいます。
ペンギンは鳥なのになぜか仕草を見ていると鳥というより人間くさい。そのせいでしょうか、ペンギン池のまわりには、いつもお客様が集まっています。
ペンギン池には6ヶ所の巣穴があり、毎年11月から翌年の4月頃に繁殖が見られています。通常2個の卵を産み、約40日オスとメスが交代であたため、ヒナが誕生します。
1番強いペアがだいたい入口より1番遠い第5巣を陣取っています。今回も第5巣に1番強いペアが入り、そのむかい側の6巣に別のペアが入り抱卵していました。
第6巣の方が約2週間早く抱卵を始め、孵化日がきても孵化しませんでした。
そこで第5巣の卵1ヶを6巣に移してみました。こうすればうまく孵化すれば、5と6巣で2羽の親鳥の元で1羽ずつのヒナを育てることとなり、成育率が上がるのではと考えたのです。
ところがなんと仮母の方が孵化し、本当の親の方は孵化しませんでした。孵化2日目、ヒナが鳴いたことに反応したのでしょうか、5巣の本当の親が6巣に突入、大ゲンカとなりました。あわてて巣穴をのぞくと、ヒナは無傷。いちかばちかヒナを本当の親のいる5巣に戻してみました。
祈る気持ちでじーと様子を観察しました。すると第5巣の親たちは当たり前のようにヒナに餌を与えてくれ、ヒナもすくすく成長。卵のうちから親子の会話していたのかな?
(鳥羽勲)