でっきぶらし(News Paper)

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107号(1995年09月)11ページ

動物の変身(鳥類編)【アンデスコンドル】

 成長が遅いことこの上なしは、コンドルです。いろいろな鳥類の雛の成長を見てきて、これほど成長の遅い鳥にはお目にかかったことがありません。
 タンチョウのところでも語りましたが、とにかく体が大きくなるのは早いものです。どんな鳥であれ、ぐんぐんという表現を安易に使ってもいっこうに差し支えないぐらいです。
 ところが、コンドルには当てはまりません。ゆっくりです。いまもコンドルを人工でながら育雛中ですが、手間隙がかからなくなった孵化後五ヶ月でも、大きさはまだ一回り親に及んでいません。羽毛もとれていません。
 そんな遅くないではないかと思われますか。いえいえ、たいていは二ヶ月もすれば孵化したときの羽毛はとれて、五ヶ月も経っていればあちこち色づいてくるものです。
 その羽根の色具合についてもそう。一年や二年どころか、五、六年経っても羽毛のとれた後の地味な羽の色そのままなのです。フラミンゴにしても、ショウジョウトキにしても、タンチョウにしても、一年も経てば外見だけは立派になるのにです。論より証拠。現在飼育されているコンドルの雌をご覧ください。
 卵を生んでいます。有精卵もとれています。が、まだ、完全に成鳥の羽の色になっていません。ところどころにようやくそれらしくなってきているだけです。来園して四年、五才でやってきていますからもうすでに九才になっています。それでもまだ色は出きっていないのです。成長が遅いと言った意味、分かっていただけたでしょうか。
 でも、他の鳥とは違って、一つだけ非常にはっきりさせてくれるものがあります。オスとメスの区別です。他の鳥では、時には血を抜いてまでしてもらわなければならないのに(DNA鑑定)、コンドルでは生まれたときから顔の形でそれが容易に判別できるのです。

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