でっきぶらし(News Paper)

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138号(2000年11月)7ページ

《飼育実習を振り返って》  北里大学  4年  花島 美幸

 八月六日から二週間、ここ日本平動物園に於いて飼育実習をさせていただきました。最初の3日間は、主に爬虫類館で、次の3日間はアリクイ舎、クマ舎、最後の7日間は熱帯鳥類館、夜行性動物館での活動でした。実習の目的は、実際に動物の飼育を見学体験すること、飼育の際動物が病気にならないよう、どのようなことに気を付けいているのかを知ることです。

 丘の上の爬虫類館に一歩足を唐ン入れると、下界とは違った、ゆっくりとした時の流れを感じます。爬虫類の世界では、人間の1週間が1日に相当するからです。こんため、蛇の食餌は週に一度の割合なのだそうです。むっとくるような高温多湿の世界は、彼らにとって好環境だということなど、動物それぞれに合った環境作り、温度や湿度管理の大切さを学びました。 

 オオアリクイやクマの飼育では、動物が受けるストレスをできるだけ少なくする飼育の工夫について教えていただきました。動物園の動物達は、野性下ではあり得ない、人間から視られるというストレスや、本来の適応環境と異なる事から生じるストレスに晒されています。しかし、展示物であり、全てをシャットアウトすることはできません。少しでも隠れる場を作ったり、暑さを和らげるために、木陰やシャワーを設けるという工夫の数々には、感心させられることばかりでした。

 夜行性館では、クスクスやナマケモノ、ハクビシンといった夜行性の動物達の動きを観察できるように、昼夜逆転した照明管理が行われています。しかし、薄暗い室内では、動物達のちょっとした変化を見落としやすいことや、閉鎖空間のために起こる湿度の上昇は、乾燥地帯に適応する動物にとって、余り良くないことなど、夜行性館ならではの飼育管理の難しさが窺えました。

 二週間という短い期間でしたが、病院の方々、飼育課の皆さんの計らいもあり、大変充実した実習となりました。また、実際のお話を伺い、作業させていただくことで、普段見聞きできないようなことを体験し、これから大学でどのような事を学ぶべきかの参考にもなりました。感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

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