でっきぶらし(News Paper)

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100号(1994年07月)13ページ

あらかると「オランウータンの夏バテ対策」

今年は例年にない猛暑で、私達飼育係も少々バテ気味です。限られた空間の中で生活を強いられている動物達にとっては、尚更のことでしょう。私の担当しているオランウータンも例外ではありません。
日中は、放飼場内の日影を求めてあちこちへ移動。しかし日影に入っても、アスファルトの道路と放飼場のコンクリートの照り返しで風も熱風となり、日影にいても涼しさを味わえずぐったり死んだようになっています。とてもお客様に愛想をふりまくどころではありません。
そこで一日に二〜三度、扉の下から放飼場へ水を流し込んでやることにしました。これにはオランウータンも大喜びで、元来体をぬらすのはそう好きでもないのにも拘わらず、流れてくる水の中に座り込んで、手で水をすくったりピチャピチャたたいたりして飽きもせずに遊び続けます。
と言っても、水不足の折です。そうそう長くは続けられません。わずか数分出すだけながらも最近では非常に待ち遠しいらしく、足音を聞いただけで扉のところで待っているようになっています。
この暑さは日中だけではありません。夕方寝室に入ってもそれは変わらず、連日30度を越える熱帯夜が続いています。
これは建物がコンクリートの為、日中の強い日差しで暖められた空気が夜になっても冷えず、温室のようになってしまっているからです。メスのベリーは夕方寝室に入るのをいやがって、時々ストを起こします。
思案して、夕方帰る時に放飼場に通じる扉を開けて少しでも夜風が寝室内に入るようにすると、いつもの台の上で寝るのをやめ、寝室の出入口の床に寝るようになりました。少しはそこの方が涼しさを感じるのかもしれません。
猛暑も冷夏も困ります。ちょうどいい夏の暑さというのがないものでしょうか。早く秋風の吹く季節がきてくれませんかねa[。(池ヶ谷正志)

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