56号(1987年03月)2ページ
レンズから見た動物達【カメラを壊した】
今年はせっかく生まれても死んでしまう動物が多く、あまり幸先のよいスタートとはいい兼ねます。トラ、ジェフロイクモザル等の期待の動物も、喜びの実感に浸れることなく姿を消してゆきました。
記録係として増える仕事は、解剖の記録ばかり。そもそも、このあたりがケチのつく予兆だったのかもしれません。
カモシカが妊娠しているかもしれないとのことで、担当者から写真を撮ってくれるよう頼まれていました。それを思い出して、では撮りに行こうとカメラを持って飼育課の部屋を出ようとしたところで、「アーッ!!」
二台を一度に持とうとした為にヒモが交錯、手に抱えたほうを思わず落としてしまったのです。しかも、ごていねいにストロボまでつけてあったほうで、両方とも駄目にしてしまいました。
しまった、と思うと同時に、今後の記録を考えると更に頭が痛くなりました。二台必要なのは、「ZOOしずおか」の記録はモノクロで、動物の行動記録はスライド用フィルムで撮る為です。一台しかないと、しょっちゅうフィルムを入れ替えねばならず、不便この上もありません。
幸い、修理にそう時間はかからず、思ったよりは記録に支障はきたしませんでした。何はともあれ、胸をなでおろしました。
いつものペースに戻ったところで、しばしそそっかしさを反省。それと同時に、気分を一新すべくホットなニュースを願わずにいられませんでした。
(佐野一成)