でっきぶらし(News Paper)

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56号(1987年03月)7ページ

動物の食べ物 第六回【ミーアキャット】

 小さなかわいい猛獣。こんな表現がピッタリする動物ではないでしょうか。二本足でちょこんと立って周囲をキョロキョロ、この仕草を見て、可愛いとか、面白いとか、思わぬ人はまずいないでしょう。
 ですが、どんなに仕草が愛らしく、ポケットモンキーとさして変わらぬ大きさであっても、ジャコウネコの仲間です。気性の激しさはこの上ありません。
 当初、飼育するに当たってまず驚かされたのは、見た目とは大違いの闘争心の激しさでした。餌付けそのものはさしてむつかしくなかったのに、仲間同士のけんかが元で、一匹二匹と減り、遂には一グループが全滅してしまったことがあるぐらいです。
 小さいとの“第一印象”に惑わされないでよく見ると、鋭い犬歯と鉤状の容易に体に喰い込みそうな爪を持っており、“猛獣”であることをはっきりうかがい知ることができます。
 かなり以前のことですが、アオダイショウの子供がうかつにも、ミーアキャット舎に侵入してしまったことがありました。結果は、無残この上なし。あえて語る必要もないでしょう。
 ジャコウネコの仲間はこのミーアキャットに限らず、強い肉食性を持っています。果実類もかなり好みますが、それに負けぬぐらいに小動物を捕らえては食べています。そんな食性を持っている動物のところにヘビやトカゲが入り込めば、格好の餌食になってしまうのは辺当たり前のことです。むしろ生還できれば、そのほうが余程不思議なぐらいです。
 二本足でちょこんと立って、周囲をキョロキョロするのも、単に見張りをしているのでなく、案外、ご馳走になりそうなめぼしい奴がいないか、と思案気に見回しているのかもしれません。
(松下憲行)

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