でっきぶらし(News Paper)

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39号(1984年06月)11ページ

野生傷病鳥獣保護で、てんてこまい!! ハシボソミズナギドリ

(八木智子)
 皆さんも新聞、テレビなどで御存知のことと思いますが、5月下旬ごろより太平洋岸にハシボソミズナギドリが、多く見られるようになりました。
 この鳥は、もともとオーストラリアの東南部沿岸などで繁殖し、夏期にベーリング・オホーツク海沿岸などへと北上していく渡り鳥であります。渡りも、普通はもっと沖を飛んでいくのですが、今回は潮の流れが海岸線に近くなり、そのためイワシの群れもその潮の流れにのって来るのでミズナギドリも一緒に海岸線近くまで寄ってきたようです。 
 姿をごらんになったことがありますか?全体に黒っぽく、カラスをひとまわり小さくした鳥で、体のわりに足が短い鳥です。ですから、一度陸にあがってしまうと、ヨチヨチ歩き方しかできず、飛び立つことができません。そのようになってしまったハシボソミズナギドリが、5月27日をかわきりに、ぞくぞくと動物園に持ちこまれてきました。
 こうして6月4日までに31羽も収容されました。保護された時の様子は、翼骨折が2羽、他は打撲や衰弱によるものでした。保護場所は、西は焼津の石津浜、東は富士川河口で、多くは三保海岸でした。
 持ちこまれてくると、まずは体力をつけさせなければならないので、アジやワカサギなどの餌を与えます。しかしすぐには食べてくれません。目の前で動かし与えますが、食いつくもの、そしらぬ顔をするものもあります。そこで、食べない鳥には、アジを細かくして注射器に入れ、チューブで胃の中に流し込んでしまいます。弱っていても抵抗する力は強いので、私の手や腕はくちばしでつつかれて傷だらけ!こうした荒療法を行ない、31羽のうち11羽は放鳥することができましたが、まだ2羽は入院中です。

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