でっきぶらし(News Paper)

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45号(1985年05月)3ページ

動物園の1年 前編 5月

ブラッザグェノン騒動再び・アメリカバイソン(メリー)の難産・他
 
 ブラッザグェノンの騒動はまだ続きます。傷も治って無事退院。そして6番目の赤ちゃんもこれまた無事出産。ここまでなら、よかったよかったで済みます。が、しばらくして、再び咬みつかれたのです。今度は左腕でした。6針縫っただけですから、前回に比べればまあ軽いと言えますが・・・。
 サルは喧嘩をしょっちゅうする動物。社会性が強いだけ、それはやむを得ないことです。ここモンキー舎の歴史を紐解けば、そんな出来事はごろごろ出てきます。しかし、このブラッザグェノンの夫婦だけは、の気持ちはありました。性質が温厚でかつ仲のよい夫婦だったからです。そんな甘い物の見方、見事に打ち破られました。
 アメリカバイソンのメリー。すっかりベテランの母親になりました。過去に6回も無事出産し、育てている母親が産気づいて、いったい誰が心配するでしょう。ところが予想に反して難産。7日の夕方に陣痛が始まりながら、夜になってもいっこうに産まれません。
 9時、遂に麻酔を打って角を鉄格子にしばり保定。ちょうどその日ボーリング大会に参加したメンバーに協力を仰ぎ、帰りに立ち寄って貰って7人がかりでエンヤコラ。10時17分にようやくのこと産ませることができました。
 前肢が曲がってつっかえたのが、最大の原因。それを正常の状態に戻すのに時間がかかり、多くの飼育係の協力を仰がねばならなかったのです。ベテランの母親でもこんなことがあるのですね。
 この他、ショウジョウトキが久々にふ化しながらも、育つことはありませんでした。29日には、ヒトコブラクダが3年ぶりの出産。これは6月のところで述べましょう。
 開園以来の動物であるダチョウのメスが逝きました。死因は、腹膜炎と敗血症とのこと。多くの素頓狂な話題を残し、カラスに背中を突っつかれて穴をあけられたり、ぶよぶよの卵や黄味のない小さな卵を産んでみたり、便秘で苦しんでいてヤケクソで蔦の葉を与えたらそれで治ってしまったり・・・。みんな哀しい思い出になりました。

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