でっきぶらし(News Paper)

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45号(1985年05月)4ページ

動物園の1年 前編 6月

アオショウビン、フンボルトペンギンのふ化、ヒトコブラクダの子の死
  
 新熱帯鳥類館で思うような展示効果をあげなかったのは、渓流の鳥のコーナーではないでしょうか。何と言ってもアオショウビンのなわばり意識が強過ぎました。時には、同居している他の鳥を捕食してしまうこともあったぐらいです。
 繁殖が望めるのは、逆にそんな強烈な自己主張があってこそ。互いににらみ合ってばかりいたオスもメスも、いつしか蜜月となり、産卵、飼育係が出入りしていた時は、卵を巣外へ放り出したりすることもありましたが、入室を極力控えるとメスはしっかり抱卵するように。オスはその巣をしっかり見守り、せっせとメスに餌を運んでいました。
 その愛を証明するように21日に4羽がふ化。育雛は曲折を経、途中でオスとメスが仲たがいを起こしたりすることがありましたが、全て元気に育ちました。
 24日、ひなを取り上げられたショックにもめげず、すぐさま次の産卵に移り、しっかり抱いていたフンボルトペンギンが、2度目のふ化。これはいささか取り上げる気にはなれませんでした。かえったのは1羽だけであったこともあり、ここは思いきって親に任せるのが賢明な策と考えたのです。結果は―!?
 先月の29日に産まれたラクダの子が、17日に死亡。頚椎の亜脱臼が原因ですから、前回同様、親に唐ワれてしまったものと思われます。どうも産室が狭いのがよくないようです。
 他、ジェフロイクモザルが出産しながら、子はすでに死んでおり駄目。飼育係の想像妊娠ではない証明がとれただけでした。29日にはアンデスコンドルが3年連続の人工ふ化。しかし今回のひなはふ化後急速に体重が減少し、翌月の3日に死亡しました。
 6月はこのように比較的めぼしい出産やふ化がありながら、成長率は思いの他の悪さでした。11種類に及びながら、育ったのはアオショウビン、フンボルトペンギン、ニホンシカ、リスザルだけ。他は全て無念の涙を飲みました。

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