でっきぶらし(News Paper)

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45号(1985年06月)6ページ

動物園の1年 後編 1月

オグロワラビー束の間の夢・アオショウビンの母逝く・鬼門アルマジロ
 
 冬枯れそのままのニュースが続きます。思い返しても、まあろくなことがありません。この月はパス、といきたいのですが、そうもゆかないでしょう。重いペンをふるいます。
 オグロワラビーが、長い袋の中の生活(6ヶ月くらい)からようやく顔を出したのが、9日。日増しによく顔を出すようになり、赤っぽかった顔も次第に毛が生えてきて、これはもう大丈夫と思えました。
 29日の朝、水飲み場の近くで倒れている子を見て、一瞬それが何であるかを疑いました。そして、その後に来る無念。せめて昼間であれば人工哺育に切りかえるなり何とかできたものを―。その日は力のないため息が何度も出てきました。
 これより13日前においては、アオショウビンが死んでいます。それも4羽のヒナをかえし育てた母親がです。ひなをかえすまでは婦助v随だったペアも、育すうの途中でトラブルが多くなって、になを半々に分けて親に育てさせていたことは知っていましたが、その後は成長した子ともトラブルを起こし勝ちのようでした。
 もともと縄張り意識の非常に強い鳥。ひなも成長してしまえば、生活圏を脅かす憎い敵でしかありません。そんな気性の激しさが、寿命を縮めてしまう結果になったのでしょうか。
 階下の夜行性動物館においては、どうもココノオビアルマジロの飼育が思うようにいきません。「涙を飲んだ動物・その後」の中では、むしろ仲間入りしたケースとして、しかも最悪のケースで親子もろとも逝ってしまった、と紹介しました。
 芳しくない飼育経過は止まることを知らず、6月にはオスが、風前の灯しびに―。見た眼以上に飼育はむつかしいようです。
 「新たに飼育するにしても、ここは“おはらい”でもして貰わなくては駄目だなあ。」日ごろ信心のかけらもないものの、誰からともなく聞こえてきた言葉です。こう悪い成績を残しては、鬼門と思わざるを得ないし、担当者でなくとも清めたくなってくるでしょう。

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