でっきぶらし(News Paper)

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60号(1987年11月)7ページ

動物の食べ物 第9回 夜行性動物館その2

 ブタとはおよそ縁がないのに、その風体があまりに似ている為でしょう。ツチブタと名付けられたこの動物は、地味ながらここ夜行性動物館の主役的な役割を果たしています。その筈です。1目1科1属1種と、生きた化石的存在なのですから―。
 かつては、上野や金沢の動物園でも飼育されていたようですが、今は広島の安佐動物園とここ日本平動物園だけと思われます。野生では、昆虫、時にシロアリやアリを主食にしているようですが、飼育下で彼らに例え1日分でもそれらを調達するのは、無理なんてものではありません。と思うと、アフリカの原野にはすさまじいばかりの昆虫がいるものです。彼らが喰っても喰っても喰いきれない程のアリがいるのですから―。
 「ねりえ」の主成分をもう一度思い起こしてください。要は彼らの口に合うように、消化吸収し易いように、動物性たん白を主体にした餌を作ってあげればよいのです。そして、コツというかちょっとした工夫というか、それにあまりこだわり過ぎないことです。ある図鑑に目を通せば、炭水化物も少し与えることが長寿のコツと書いてありましたし、ねり餌に青菜が混ぜられているのは、要するにツチブタの為なのです。前担当者の話では、便の状態が非常に良くなるとのことでした。
 よいバランスのとれた食生活の後に来るのは、繁殖。昨年の流産の報は悔しさをかきたてたものの、今後に大いに期待をも抱かせました。今年早々か、それとももう少し後に朗報はあるのでしょうか。少なくとも妊娠した実績だけはあります。

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