でっきぶらし(News Paper)

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61号(1988年01月)7ページ

動物の食べ物 熱帯鳥類館「渓流の鳥」

 「あっメジロだ」「あれは我が家の庭にもよくやってくるシジュウカラじゃないか。」「ウグイスはどれかな。」こんな会話がよく聞かれる場所です。身近な野鳥を改めて見ることができて、何となく親しみを感じている様子ですらあります。
 ひと昔前なら、あえて展示する必要性のなかったコーナーかもしれません。が、都市化が急速に進んで身近な所から自然が失せつつある今、逆に最も必要なコーナーになっている気さえします。
 ドッグフードやミルウォームをついばんだりしながら、木の枝と枝の間を実に忙しそうに飛び回って移動してゆきます。特にシジュウカラは、じっとしているのは全く性に合わないといわんばかりです。
 いつぞや何かのテレビでの場面ですが、シジュウカラやその同じ仲間であるコガラあたりと、ヒマワリの種ひとつ食べるにしてもずいぶん違いがありました。シジュウカラは片方の殻をむくだけでさっさと食べたかと思えば、コガラの方は殻をきれいにむいてから食べていたのです。
 食べ方ひとつにしても出る違い。この辺のところをじっと観察できるのは担当者の特権です。たまに来てちょこっと眺めたくらいでは、とてもとても彼らの個性や特長はつかめるものではありません。
 この渓流の鳥のコーナーには、つい最近までアオショウビンも一緒に飼育されていました。東南アジアに生息し魚類を主食にするこの鳥、縄張り意識も人一倍強く、排他的な性格を如実に表していました。アオショウビンに殺された「渓流の鳥」は1羽や2羽では済みません。2年前にはヒナもかえしたのですが、メスは連れ合いに対してさえも育雛させない挙に出たぐらいです。
 その気性の激しさ故でしょう。日本で初めての繁殖をしたことで、私たちに多くの夢や感激を提供しながらも、比較的短い飼育期間で終わり、うたかたのように消えてゆきました。

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