280号(2024年12月)2ページ
フラミンゴに待望のヒナ誕生!①
「昔は」といったらちょっとおかしいですが、以前は日本平動物園といえば、入り口正面で色鮮やかに賑わって来園者たちを迎えていたフラミンゴを思い出す人もたくさんいるのではないでしょうか。私も、入ってすぐのフラミンゴ、という印象が今でも頭に強く残っています。昭和44年に日本平動物園が開園して以来、当園の顔として多くのお客様に親しまれてきたフラミンゴたちは再整備計画により、2011年には現在のフライングメガドーム内の一角へと移り住み、およそ13年が経ちました。少し話が横道にそれたりしますが、皆様にびっくりする話題があります。それは何かというと、なんと実はその時(開園時)のフラミンゴがまだ生きているのです。現存しているのであります。えー!?まだ生きているの!?と驚く方もいるでしょうが、昭和44年の開園時からいる動物は、アジアゾウの「ダンボ」とベニイロフラミンゴの2羽なのです。現在、ベニイロフラミンゴは5羽飼育しています。残念ながら個体識別リングが不明となってしまい、どの個体かまでは分からなくなってしまいましたが、動物台帳から間違いなく5羽いる内の2羽については、開園から生存していることとなっています。来園時にある程度の年齢で来ているものと考えると、ひょっとしてもう60歳を超えているのかもしれません。フラミンゴはとっても長生きする生き物なんですね。ちなみに海外では、なんと80年以上生きた個体もいたようですが…?
さて、これまでの当園の飼育経過を振り返ると、以前のフラミンゴ舎においてはヒナたちが何羽かふ化に成功しており、繁殖自体それほど珍しいものではなくなっていました。しかし、メガドームへ移ってからは、何度か産卵はしたものの、環境の変化が大きかったということと、鳥たちの高齢化という大きな問題がありました。先に述べた開園当時からの2羽以外でも、当時大半が40歳を超えるような有様です。これではなかなかうまくいきません。そこで、約4年前に日立市かみね動物園から2組の若いペア(計4羽)を譲り受け、新たに繁殖に向けて飼育していくことになりました。来園早々、そのうちの1羽がフラミンゴエリアから脱走するハプニングもありましたが(しかも2度も…)、見事に昨年そのうちの1ペアが卵を産みました。フラミンゴは植木鉢をひっくり返したような形の巣を土を盛り上げて作ります。しかしせっかく卵を産んだものの、土台となる巣が不十分であったため、残念ながら翌日には巣から卵が転がり落ちていました。親も巣から離れてしまったため、仕方なくふ卵器(人工的に卵を温める機械)にダメもとで入れてみました。すると約1か月後、なんと見事にヒナがかえり、私が親代わりになって育てる(人工育すう)ことに…。当園の昔の資料を探すと、36年前の人工育すう記録(また古い)が…。これを自分なりに参考にさせてもらい、エサはドロドロにしたものを、ゴムチューブで口の中に流し込み、初めはだいぶ四苦八苦したものの、何とか大きく成長させることができ、「ピックル」と名付け、メガドームのフラミンゴの群れの中へと同居させることができました。
フラミンゴに待望のヒナ誕生!②へ続く