でっきぶらし(News Paper)

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29号(1982年09月)7ページ

動物病院だより

今年は、暑さらしい暑さがないうちに、夏が終わってしまうのかと思っていたところ、8月末になって、残暑がきびしく、病院の2階の温度計は、連日30度をこえている。
今月は、中国の西安動物園にクロヒョウのオス・メス、ダチョウのメスを贈呈する大きな行事があったが、園内の動物達には大した病気もなく、ほっとしている。その反面負傷して保護されてくる小さな獣や鳥達で、病院の中は、ただ今満員の盛況ぶりである。どんな動物がいるかといえば、タヌキ12頭、ハクビシン2頭、ヤマネ1頭、アカショウビン3羽、カワセミ1羽、キジバト1羽、コシアカツバメ2羽、ヒメアマツバメ1羽、セグロカモメ2羽、コアジサシ1羽、ブッポウソウ1羽、ムナグロ1羽、チュウシャクシギ1羽、イソヒヨドリ1羽、トビ1羽、ゴイサギ2羽といった具合である。タヌキ、ハクビシン等は回復して放獣しても、またすぐに負傷したものが保護されてくるので、病院でタヌキ、ハクビシンの姿を見かけないことはない。
また、アカショウビンやカワセミ等は、生きた小魚やカタツムリ、サワガニ等しか食べないので、近くの小鹿の池にヌカビンをかけてモロコを取りにいっている。
野生で傷ついたり、衰弱した獣や鳥を保護することは、動物園の大きな役割である。それらの動物の面倒をみる時間がある時は良いが、園内の動物が調子悪くなれば、自分達の飼育している動物達の方へ時間をかけてしまうのが現状なのです。
春から夏にかけて保護収容されるツバメやスズメのヒナを管理課の人達が、面倒を見てくれるようになって、かなり放鳥できるようになったが、それでも年間150〜200点のうちで4割弱である。やはり、専門の野生動物保護センターを設けて、手をかけてフィールドとつながった形で、仕事がなされるように願っている。
(八木智子)

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