でっきぶらし(News Paper)

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32号(1983年03月)5ページ

徳子妊娠中

(佐野一成)
キリン舎には、現在3頭が飼育されています。
開園時にペアーで入園しましたが、メスは56年6月に事故で死亡してしまいました。メスの名は高子で5頭出産し、うち1頭は北海道の旭川動物園に飼育されており、2回目に生まれたのが徳子です。その後、成長して57年2月6日にオス親の富士雄と徳子の間に生まれたのが一樹です。
初産のためか徳子は一樹にお乳を与えなかったので、飼育課員から牛のお乳を与えられ育ちました。(でっきぶらし2号に記載)その一樹も出産時、頭頂高187cmだったのが1才をむかえた今年の2月に体測すると、頭頂高も280cmと1m以上にも伸び、今では親にも負けないくらい餌をたくさん食べ順調に成長しています。
徳子も一樹を出産して1ヶ月後に発情があり交尾が確認され、その後の発情が見られないので妊娠したことになりました。キリンの発情は12日〜16日位の周期をくりかえし行なわれます。交尾までの状態は、1日目にメスがオスの前を歩きまわり誘発させます。時々、メスが尿をするのをなめ、発情がきているのを確認するように「フレーメン」と言って上唇を上げ笑うようなかっこうをし、その1〜2日後にだいたい交尾が行なわれます。
妊娠してからの徳子は順調で、昨年の8月頃より腹部が大きくなるのが目立ち始め、11月頃にかすかな胎動(お腹の中で子供が動くこと)が確認され、今年に入ってからは胎動が大きくなり、足でけっているのがわかります。乳房は、それほど張っていませんが、乳汁が時々出るのも観察されますので、元気に成長しているものと思われます。
ちなみに、キリンの妊娠期間は420日から長いものだと490日まであり、2ヶ月位の幅があるのです。前回の出産は交尾から数えて466日目でしたので、今回の出産予定は5月25日頃で、前後1週間のずれがあると見られるので、出産準備を1ヶ月前より行ない、いつ出産しても良い状態にしておきます。準備といっても、人間のように多くはありませんが、床に敷ワラを十分敷いて子供が産まれ落ちてもよい状態に、また子供の起立がしやすいためのものでもあります。
この他、柵に当たってもよいようにベニヤ板を張ってやり、今まで以上の観察ができるようにすることが準備となります。
飼育課員は、元気なキリンが生まれ、徳子が母親らしくめんどうを見てくれることを念願しています。みなさんも、キリン舎の前に来ましたら立ち止まって、徳子の胎動を見ていって下さい。

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