でっきぶらし(News Paper)

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33号(1983年06月)7ページ

動物病院だより

動物園も繁殖シーズンをむかえ、あちらこちらで親子のほほえましい姿を見ることができます。時々、『動物のお産の時、人間のように手伝ってやるんですか?』ときかれることがあります。犬や猫、あるいは牛や豚といった常に人にふれられている動物では、陣痛が始まり、時間がかかるようであれば、陣痛にあわせて腹をいさえたり、子をひっぱりだしたり、手術をおこなうことはできます。
ところが、動物園の動物は、人がいるというだけで警戒し、おちつかなくなってしまうことが多いのです。ましてや、おさえて子をひっぱるなんてことは、逆子であったり、時間がかかり、母体の方がもたないと判断した時以外はやりません。
お産というものは、生理的現象ですね。私も何度か出産シーンをのぞかせてもらってきましたが、めんどうをよくみる母親は、生まれ出た子の体をすぐになめ始め、自分の目のとどく範囲に子をおいています。とても我々など入っていく必要はないわけです。
「人も、もともとは自分一人で始末しただろうに・・・動物の方がよっぽどえらいものだ!」なんて思ってしまいます。
繁殖するということは、その環境になれた証拠。その環境づくりが我々の仕事です。
1種でも多くの赤ちゃんが生まれるように、みんなでがんばりたいと思っています。
(八木智子)

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