でっきぶらし(News Paper)

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35号(1983年09月)6ページ

動物病院だより

このところ、朝夕少しは涼しくなり、ちょっぴり秋の気配を感じて、やれやれと思っています。今年の夏は、最初のうちは涼しくて、また冷夏かと思っていたところ、突然の猛暑。病院の温度計も35度に到達!毎日毎日、「暑いねえ!この暑さ、どうにかならない?」と、うんざり気味でした。
この猛暑は、動物にとってもやはりまいっているようです。ウンピョウや、ライオンなどは夕方寝室に入ると、すぐに餌を食べます。ですから私が夕方見回るころには、ほとんど残っていません。ところが、このところあちらこちらの部屋で餌が残っているのです。朝までには、食べてしまっていますが、夏に食欲がないとなげくのは、人間ばかりではないようです。
また、ゴリラやゾウ、クマなどはさかんに水浴びをしています。あるサファリでは、ラクダも水浴びをしていたそうです。
この暑さで、さぞや体調をくずす動物が多いだろうと思われるでしょうが、病気になりやすいのは、秋になり始めの頃なのです。暑さで体力が消耗して抵抗力がなくなり、気温の変化が激しい等が重なりあって発病しやすいのです。皆さんも御注意下さい。
さて、今月の治療の1つをあげてみますと、ヤマアラシが8月18日に入院しました。左後肢が跛行しているというので見ると、両後肢の肢の裏はヒビわれし、腹部も3ヶ所化膿していたのてす。そこで治療ということになったのですが、御存知のようにヤマアラシの身体には毛が変化した針がありますので、捕えてというわけにはいきません。そこで毎日小さなケージにうつし、ケージを持ちあげ、下にもぐって薬を塗ったり、注射をしたりしています。治るには、まだ時間がかかりそうです。
(八木智子)

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