でっきぶらし(News Paper)

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40号(1984年07月)6ページ

病院だより ラクダの子・死亡

 先月号で、5月29日ラクダ誕生のニュースをお知らせしましたが、その後の経過は思わしくなく、6月17日早朝に残念ながら死亡してしまいました。このラクダの子の名前は“五月(さつき)”が、20日の命でした。
 前回(昭和55年4月18日)は、母親が出産時の興奮のため、子の頚部を唐?でしまうというアクシデントがあった後だけに、寝室をひろげたり、部屋の壁にワラをくくりつけたりして出産の時を待っていました。
 草食獣は、一般に出産後3時間以内に起立するものですが、このラクダの子はなかなか立ち上がりませんでした。そこで生後8時間をすぎたころ、身体を支えながら立たせました。それから、何度か繰り返し立たせたり、座らせたりしていくうちに、ようやく生後2日目に自分で立ちあがるようになりました。でも、母親の乳首に吸いつきには行きませんでした。そこで、とりあえず体力を維持させようと、市販乳を哺乳ビン(日本平動物園特製・上の図)で、1回500cc、1日4回飲ませることにしました。
 この子の母親はとても神経質なので、乳首などとても触らせてはくれないだろうと最初からあきらめていました。乳房は吸わないためパンパンに張り、それが痛いのか、後肢でもんだり、すわる時にはピューと勢いよく乳汁が飛ぶのがみえました。
 あるとき、なんの気なしに母親の乳房をさわってみました。やってみるものです。母親は気持ち良いのか、じーっとしています。
 「こりゃ、いいや。子供をここにつけてみよう!」
 子の口を乳首につけ、乳房をしぼりながら子の口に乳をふくませました。やっていくうちに、子も要領がわかり、自分で吸うようになりました。
 ここまでゆけば安心と思ったのも束の間、生後9日目ごろより、立っていてもふらふらし始め、乳首につけても飲まなくなってしまいました。そこで再び市販乳を飲ませ、ビタミン剤等を注射しました。しかし状態は良くならず、首の曲がりもひどくなり、衰弱が目立ってきました。もしやと思いレントゲンを撮ってみたところ、第1〜第2、第3〜第4の首の骨に異常が見つかりました。出産時に親が唐?でいたか、また子が立ったり座ったりする時にぶっつけてしまったのか、原因はわかりませんが、今回も前回同様の経過をたどってしまったのは、まったく残念でくやしく思います。
 この2回の失敗を唐ワえて、もう一度見なおしてみたいと思います。母親が唐?でしまうのは、落ちつかないことがあるのでしょうから・・・。この次こそと、担当者も気持ちを切り換えてラクダの世話をしています。

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