でっきぶらし(News Paper)

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41号(1984年10月)9ページ

爬虫類館10年 その2 たまらぬ未消化物の吐き戻し(ヘビ類)

 それぞれ、どの獣舎にも独特の臭いがあります。慣れぬ人にはそれぞれ異様な臭いとしか受けとめられないでしょう。爬虫類館とて決して例外ではありません。むしろ私たち飼育係にとってさえ、一種独特の臭いとして鼻についてきます。
 それが担当者になると、くさいとか、変な臭いとかでなく、ひとつひとつの臭いをかぎわけてゆきます。ヘビが死んだりすると、独特の臭いを発しているので、すぐにわかると言います。私たちにすれば、獣でもない、鳥でもない、動物の臭いが溶けて混ざりあって臭ってくるだけなのに、その辺はさすがです。
 その担当者も悲鳴をあげる臭いがあります。ヘビが未消化物を吐き出した時です。甘ずっぱいような、何ともたまらない感じで、胸に“ウッ”と来るそうです。「ヘビが嫌いなら、あれの始末はとてもできない。」とは、担当者の弁でした。

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