でっきぶらし(News Paper)

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41号(1984年10月)13ページ

爬虫類館10年 その2 国産のヘビ類

 私たちが生活をしている周辺に、何種類のヘビが生息しているのか御存知ですか。「そんな気色の悪いもの知りたくない。」とにべもない冷たい返事をされそうですが、それはちょっと寂しすぎます。草むらをスウッと這ってゆくヘビが何を食べているかがわかれば、少しは愛着が湧くと思うのですが、いかがなものでしょう。
 かくいう私も、元来ヘビ好きではありません。だからこそ爬虫類館へ通い、特に国産ヘビ類の保護のあった時は強く関心を向け、生活ぶりを少しでも知ろうとしました。この辺は謙虚なアマチュア精神です。それでは私の乏しい知識の中から、いわゆる国産、そこいらの草むらや水辺にいるヘビを紹介してみましょう。
 青くて薄い縞模様があれば、これはもうアオダイショウ。全長1m5〜60、時には2m近い大きいものもいるそうです。園内でも最も多く、フライングケージや育雛舎周辺にヒナやタマゴを狙ってよく出没します。ただ子供のうちは灰色がかっていて、よくマムシとまちがわれます。
 赤と黒のまだら模様といえば、ヤマカガシ。ドジョウやカエルを好むからでしょう。池の周辺で時々見かけます。厳密にいえば、毒ヘビのたぐいに。毒腺が、奥歯辺りまで来ているということです。滅多にないことらしのですが、先頃中学生が咬まれて死亡したと言うニュースにはいささか驚きました。
 キジ舎の裏側に餌のドジョウ用のいけすがあった頃、それを狙って茶色の体長4〜50cmのヘビがよく来ました。たいていジムグリでした。このぐらいのヘビだとちょっぴりかわいい気があります。このヘビより更に小さい茶褐色のヘビにタカチホヘビがいます。ミミズが主食だそうですが、飼育は非常に難しく今までに3〜4回保護されましたが、そう長くは生きませんでした。
 体にはっきり黒い縞模様の出ているヘビ、文字通りシマヘビです。動物園内にも少しはいます。いつの日のことでしたか、爬虫類館で欲しがっているというので、たまたま見つけたシマヘビを捕まえようとしたら、ものすごい勢いで向かって来たのには驚きました。聞けば、かなり気の荒い部類に入るということです。
 「野良作業をしていたら、いきなり“がぶり”とやられたよ。」と、かなり以前のことですが、前担当者がグローブのように腫れた手を見せてくれたことがありました。無論、やったのはマムシ。毒の恐ろしさに驚いたのと、何だこの程度なのかという思いが交錯しました。毒は恐いけれど、この程度のマムシ一種だけとは、野辺を好んで歩く者には幸いでしょうか。でも毒ヘビは、毒ヘビ。決して侮れる存在ではありません。この他にヒバカリ、シロマダラとかいうヘビがいるのですが、名を聞くだけで説明まではとてもとても。申し訳ありません。
 以上、爬虫類館の裏側を四苦八苦しながらまとめてみました。一部を見ただけでも細かいところで間違いがちょくちょく。これを読んで半歩でも爬虫類に近づけた、そう思ってもらえれば幸いです。

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