でっきぶらし(News Paper)

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41号(1984年10月)15ページ

動物慰霊祭 慰霊の言葉

 暑かった夏も過ぎ、やっと秋らしくなってきました。朝夕の冷たい風を感ずるようになると、今年もまたあなたがたのことを思い出します。
 不幸にしてこの1年、また数多くの仲間の皆さんが、あなた方の仲間入りをしてしまいました。日本で当園にしかいないハイイロキツネザルのチッチ、ダチョウのヘル、10年も生きたルリコノハドリ、脚を痛めて長らく動けなかったアルダブラゾウガメ、せっかく生まれたのに短い一生を送ったヒトコブラクダの赤ちゃんなどです。
 また、これらの中には開園以来の仲間がいます。5月に腹膜炎で死んだダチョウのニヤです。この「ニヤ」は、私達にいろいろな話題を提供してくれました。小さな卵を産んだり、カラスに背中をつっつかれ大きな傷を作ったり、何日も何日も餌を食べなかったり・・・。でもその都度、何とか元気に回復してきましたが、今回は年に勝てなかったのか、ついにその生涯を閉じてしまいました。
 そして、暑い8月の末には、約1ヶ月近い病気の末、死んでしまったピューマのオス(キング)。その立派な体格は国内でも1位、2位を争うほどでした。それが、げっそりとやせてしまって・・・。でも達は、元気な頃のすばらしい姿を決して忘れないでしょう。
 次に、今日の慰霊祭を目前にして、病気と闘い続けてきたオランウータンのクリコが、静かにその19年間の生涯を閉じたのであります。開園の時にクス玉を割った幼かったクリコ、ステージでユーモラスな芸を見せてくれたお茶目のクリコ、一生懸命に子育てを学んだクリコ。いま目を閉じると皆に愛され続けてきたクリコの姿が浮かんできます。これからもきっと、私達の心の中にいつまでも生き続けることでしょう。
 今年で日本平動物園も開園以来15年たちました。仲間の皆さんの記念の写真集も立派にできました。しかし、年数がたつにつれ、だんだんと開園以来の動物達が少なくなってきました。これも、しかたのないことかもしれません。寂しく悲しいことです。でも、これらの仲間を含めて現在生活している動物たちが、1日でも長生きしてもらうよう、私たちはこれからも頑張ってまいります。ねむられたあなたがたも、どうか暖かい目で見守って下さい。
 最後に、あなた方が心安らかに眠られるように、職員一同心よりお祈りして、慰霊の言葉とします。
 昭和59年9月23日
 日本平動物園 園長 野中義男

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