でっきぶらし(News Paper)

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44号(1985年03月)3ページ

涙を飲んだ動物たち・その後【ホッキョクグマ】

 締め括りに「この暖かい静岡では、出産に導いただけでも進歩でしょうか」と述べました。事実、本州以西の動物園での成功例はありません。せいぜい人工哺育で三ヶ月ぐらい育った例があるぐらいなものです。
 ホッキョクグマの繁殖の成功と言えば、北海道。 年前に旭山動物園が、そして昨年釧路市動物園がそれに続きました。ホッキョクグマに適した気候、風土、それに休園も含む冬場の静かな環境。それは本州以西の動物園ではどうにもならないことです。
 さて、日本平動物園では、四年前に子の形骸だけ見られて以来、交尾しするものの毎年十一月下旬から十二月の上旬にかけての“出産予定日”は、ずっと空振りに終わっています。かけらも見せてくれなくなっているのです。
 飲んだ涙は遠に枯れてしまっているでしょうが、まだまだ期待のできる年齢です。人工哺育でもいい、ホッキョクグマの育児に一度はチャレンジしたい、動物の飼育に携わる者の偽らざる気持です。

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