でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 45号の3ページへ45号の5ページへ »

45号(1985年06月)4ページ

動物園の1年 後編 11月

チリーフラミンゴ3度目のふ化・チンパンジー・リッキーの歯が欠ける他
 
 秋も深まってくれば、まず繁殖のニュースはなくなってきます。あってもぼつぼつで、まず1例か2例。ところがニュース性としては意外にビッグなものです。
 この月、唯一のチリーフラミンゴのふ化も中身の濃いものを感じずにはいられません。「良母愚母」の中で、多くのペアが産卵しても母親、父親になれずにあえいでいると述べ、唯一上手なペアがいるとも述べました。そのペアが、あっと驚くような早さで3羽目のヒナをかえしたのです。4月8日からわずかに7ヶ月余りしか経っていないのにです。
 過去の2羽も無事に育て、今回も見事なものでした。それにしても、どうしてひとつのペアだけがどんどんひなをかえし、育て上げるのでしょう。ちょっぴりどころか大いに不思議な気がします。
 オランウータンのクリコが死んだ後、残されたジュンとチンパンジーのリッキーを同居させたことは、近況報告の中で詳しく述べました。あえてそれ以上語る必要もないでしょうが・・・。この2頭、仲よくなってくれたのはいいのですが、オス同士の持ち前の荒っぽさで、体のそこら中に生傷を作るだけでは飽きたらず、時には恐ろしく丈夫な歯が欠けるぐらいまでプロレスごっこ。いやはや、あきれかえるくらいです。
 そんなある日、遂にリッキーがダウン。最初、熱を出した時には風邪かと思ったのですが、さにあらず、午後になると左の顔面がぷっくりと腫れあがりました。なんと犬歯が欠けて、そこから雑菌が入り化膿して熱を出していたのです。程ほどにしてくれればいいのですが、そんな時はたいてい病気。元気な男の子を持っておられるお母様方なら、その辺は分かって頂けるでしょう。
 この月、他には、せっかくパルマワラビーの子が袋より顔を出して喜んでいた矢先、もう1頭のメスが工事の騒音に驚いて、フェンスに顔を突っ込み宙吊りになって死亡。袋の中には子が入っていて、二重のショック。悲しくなりました。
 
 

« 45号の3ページへ45号の5ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ