でっきぶらし(News Paper)

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46号(1985年08月)4ページ

良母愚母 第7回 ◎ルーセットフルーツコウモリ(元気に育って飛翔し

 飛んでいるコウモリを見せたい!新夜行性動物館建設の当たって、それは大きなプランのひとつでした。が、当初はそのプランがままならず、やってきたのは旧館において展示されていたインドオオコウモリとさして変わらないやはり大型のコウモリでした。
 ようやくそれが実行に移せたのは、昨年に入ってからです。6月に9頭、8月に入って20数頭の小型のコウモリを購入することができて、今までの大型のコウモリと交替。建設前の夢が叶えられることになりました。
 が、すぐに悩みは生じました。小型ゆえに体力が乏しいせいでしょう。環境の変化についてゆけず、死んでしまう個体が実に多かったことです。それは飛翔の夢も束の間に終わる恐怖さえ抱かせました。
 それでも、2ヶ月、3ヶ月と経ってゆくと、次第に落ち着きを見せ始め、獣医と担当者のため息が漏れるばかりの顔も次第に消えてゆきました。相まって、「11時ごろが最高だなあ。その頃が飛んでいる姿が一番よく見られる。」の話もよく聞けるように―。
 更に今年に入ってです。すっかり今の環境に適応したことを宣言するかのように、出産の報告が相次ぎました。どこかに恐る恐るの気持ちがあったルーセットフルーツコウモリの飼育も、ここまできてやっと根付いたと言えるでしょうか。
 日本の動物園においてはまだ繁殖例がないこともあり、その行動追跡が計画され、それは今も続いています。
 「はばたく時は、母親にしっかりしがみついている時で、1頭ぽっきりでいる時はやらない」「面倒を見る父親は1頭だけで、他には見られない」「子が床に落ちていたので、止まり木にかけてやったらすぐに母親がやって来て連れていった」等々、入ってくる話はまだ断片的なものばかりです。でも、行動追跡は続いているのです。その内、しっかりまとめた形で子育ての経過報告があるでしょう。今から楽しみでなりません。

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