でっきぶらし(News Paper)

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52号(1986年07月)3ページ

レンズから見た動物達 ワニの扉を開けたゾゥー

以前、ワニを撮りに行った時のこと。初め外からシャッターを切っていたのですが、位置が高いので、どうしても頭か背中ばかりの写真になってしまいます。
何とかもっと下から撮れないかと、担当者に相談すれば、いとも簡単に「中に入れば」と言うのです。
入れと言われても、相手はワニ!!ふだんは石みたいに動かなくても、いざとなると目にも止まらぬ早さだと聞いています。その上、担当者とそうでない者をしっかり見分けるとも言います。と言うことは・・・やっぱりやめよう!
再び周りから写してみたのですが、どうしても思うように撮れません。仕方がない、やってみるか!一大決心をし重い扉を開け、恐る恐る中に入ると・・・動かずに皆こちらをじっとにらんでいます。もう一歩・・・動かない、カメラを構えつつ座りました。
動くなよ、動かないでくれと祈りつつシャッターを切る、カシャ、カシャ、更に四〜五回押してみる・・・動かない。この分なら大丈夫かな?もう少し近くへと思い立ち上がろうとした時、バシャ、バシャ、バシャ。
「来たあ」もう夢中で逃げました。足が震えます。「やばーい」もう少し経って扉の窓からワニを見ると、「あれ、あれえ、ワニがいない」よく見るとみんなプールに入っています。
何のことはない、ワニは逃げたのです。何とお互いに逃げていたとは・・・。
「えっ!!写真は撮れたかって」、恐ろしくって震える思いをしたんです。強引に使ってもらいましたよ。
(鈴木和明)

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