でっきぶらし(News Paper)

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52号(1986年07月)9ページ

思い出の動物達◎ダイアナモンキー

世界に二百種類ものサルがいる中で、最も美しいサルはと尋ねられたら、私はためらうことなく「ダイアナモンキー」と答えます。恐らく異論は出ないでしょう。ダイアナとは月の女神の意、命名した人もその美しさを充分に認めたからこそ、こんな素晴らしい名をつけたのだと思います。
世代交替も順調で、母子とボスが仲よく暮らし、何の心配もありません。でも、新しくやってきたボスを見る度、何か物足りなさを抱かせます。気迫というか、厳しさというか、そんなものが大きく欠けているのです。
それは、死んだ親父の物凄さを見慣れ過ぎたせいかもしれません。ちょっとしたことでもすぐに牙をむき、「俺の一族に手を出す奴には容赦しない」といった形相で立ち向かってきたぐらいです。
そんなダイアナの親父が、体調を崩してから他界するまでは、あっという間の出来事でした。むしろ隣のオマキザルの雌(まだ生きている)のほうが弱々しくて、余程心配したぐらいです。
歯槽膿漏もかなり進行していましたから、相当の年令だったかもしれません。外見の気丈さと毛づやのよさに、私が老齢を見抜けていなかったようです。
今、思い出せば思い出す程の気性の激しさ、その名残は娘がしっかり受け継いでいるといいます。まだ代番でけっこう関わりのある身、つまらぬことで怒らせぬよう心掛けましょう。

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