でっきぶらし(News Paper)

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52号(1986年07月)11ページ

動物病院だより

今年は残暑がきびしいようですが、皆さんは夏バテしていませんか?
今年は出産があいつぎ、七月に入って八日にホンシュウシカ、十四日にピューマ、マレーバクが生まれました。そして八月十五日にはオオガラゴ、二十五日にはヒョウ(人工哺育)が生まれ、いずれも順調に成育しています。
こういった良いニュースばかりであれば、私達もウキウキ気分で仕事ができますが、そう甘いものではありません。というのは、八月十日ハ虫類館のワニの飼育場でけんかがあり、クチビロカイマンのメスが、左後肢を負傷する事件がおこりました。見に行くと、かなりの重傷だったので、さっそく手術を行うことにしました。やられた個体は以前にもけんかで右後肢を骨折している為、骨が変形していたのです。
まず吹き矢を使って麻酔し、ワニをハ虫類館の飼育詰所に運びました。傷口を見ると、なんと左後肢は皮一枚でつながっているだけでした。私達がメスでようやくきれる皮をいとも簡単にもぎとってしまうなんて!!ワニの歯、かむ力はすごいものです。
手術自体はトラブルなく終了できたのですが、術後管理がうまくゆかず、残念ながら一週間後に死亡してしまいました。ハ虫類では代謝が遅いので、薬の吸収も悪い為化膿すると経過は長びくようです。以前に抗生剤を注射し、一週間ほどしてから解剖してみたら、注射部位に薬が残っていたことがありました。
これから動物達も体調をくずしやすい時期に入ってゆきます。皆さんも自分の身体の健康に気を配って下さいネ。

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