でっきぶらし(News Paper)

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53号(1986年10月)2ページ

動物園こぼればなし◎嫌われ者

 飼育係の顔を見れば、そばへ寄ってきて触ってもなでても怒らない、金網越しにそんな態度を示す動物は、たいてい可愛がられるものです。が、ダイアナモンキーの雄の場合はちょっと事情があって、むしろ図々しさとして映り、担当者にはかなり嫌われています。
 というのは、眼鏡を盗る悪癖のせいです。担当者が、子供の写真を撮ろうとカメラのレンズを金網にぴったりくっつけ、シャッターチャンスを待っていると、すうっとそばに寄ってきて眼鏡を指にひっかけ、さっと持ち去って遊び道具にしてしまったことがあったからです。
 ン万円もする眼鏡を暇つぶしのおもちゃにするとは!その上どんなに叱っても臆する風なしときては、苦虫をつぶすだけです。
 これはたまたま偶然そんないたずらをしたのでは、と思っていたのですが、記録係の方もやはり同じことをして同じ目に遭ったとのこと。しかも担当でない悲しさ、叱ろうにも叱れず、眼鏡の回収も思うようにはゆかず、再び手にした時にはレンズにかなりの傷がついていたそうです。
 これでは、嫌われても当たり前。日本平動物園へ来る前は、何処でどんな飼われ方をしていたかは知りません。どうであれ、人馴れさせ過ぎてありがたくない“癖”を覚えさせてくれました。
 飼育係の皆さんをはじめ、眼鏡をかけておられる方は、ダイアナモンキーの写真を撮る際には御注意ください。とりあえず忠告申し上げておきます。
(飼育課員 松下憲行)

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