でっきぶらし(News Paper)

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57号(1987年05月)12ページ

動物園こぼればなし◎知恵くらべ

ネズミ、ハト、スズメ、カラス、この動物の名前を聞いて、はてなと思いませんか。この動物達は飼育動物ではありませんが、ネズミを除いて、いつでも見ることが出来ると思います。
この動物の中で最も私達飼育係の頭痛の種になるのがネズミとカラスです。
特に私が担当しているクマ舎の中では、ネズミ達が大きな顔をして舎内を走り廻っていました。
問題は、クマに与えるべき餌です。昼すぎにはそれぞれの寝室にその日の餌を入れます。
馬肉、サバ、鶏肉、リンゴなど、ネズミにとって大好物ばかりが、どうぞ食べて下さいとばかりに置いてあるのですから、これをみのがす事はありません。
そこで、私とネズミ達との知恵くらべが始まったのです。ネズミは排水口から寝室に入ってきます。その為まず、排水口に大きな石を置いてみました。ところが、この石を少しずらしてすきまを作り中に入りこんでくる力の強さはさすがです。
次に餌を与える時間を変え夕方クマを入室させる少し前に各室に餌を入れる方法をとってみました。これもネズミ達はよくこころえていてなんとか餌を持っていってしまいます。
ネズミ取りなど使用してみましたが、最初の1匹〜2匹は捕えることが出来ますが、それ以後2度とつかまりません。
そんな時、獣医さんが、これを使用してみたらといって、ネズミの好物であるピーナツや小麦の入った殺鼠剤を持ってきてくれました。
この餌入り薬をさっそく、はり金に取り付けてキーパー通路に置きました。2〜3日して効果てきめん、殺鼠剤を残らず食べてありました。
そこでとうとう私の勝利、それからはネズミの姿を見ることがなくなりました。
(飼育係 石井 勇)

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