でっきぶらし(News Paper)

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57号(1987年05月)7ページ

幼児動物教室のうらばなし パート?T 小島昭一

 子供動物園で行なわれている幼児動物教室の実施状況、教育的役割などといったむずかしい話は別の機会に書くことにして、今回は動物教室を行なっていく中で、我々職員と幼稚園、保育園、保育所の保母さん、それに子供達とがくりひろげるいろいろと楽しい苦労話を思いつくままに書いてみたいと思います。
 教室は、三月〜十一月(八月は休み)の八ヶ月間の月、水、金曜日の午前十時三十分〜十一時三十分までの一時間の単位で実施しています。そして教室を実施する一週間前に、職員と保母さんとの打合わせを必ず行なうようにしています。これは、当日の内容を良く理解してもらう目的もありますが、それ以上に保母さん達に動物を知ってもらい、馴れてもらうことが、一番大切な事なのです。特に当日、登場する動物達の中には女性がもっともにがてとするインドニシキヘビと一緒に記念撮影というコーナーがあるからです。
 このニシキヘビは長さ三m、体重十一kgとへビの仲間の中でも大きくなる種類。打合せ当日、「はい、触れて抱いてみてください。」と言ったところで、恐がって触れる保母さんはほとんどいないものです。こんなこともあってあまり恐がり、いやがる保母さんには、記念撮影時の写真係をしてもらうとか、子供達の整理をしてもらうことにしています。
 次にウサギを抱くコーナーがあります。これもウサギに一度も触れたり、抱いたりしたことがないという保母さんが比較的多いのです。「さあ、抱いてみて下さい」とウサギ舎の戸をいあけてもどこをつかんで抱いたら良いのかまごまごしています。そこで職員がウサギの背中をつかんで外にだすと「いやーかわいそう!!」と言う保母さんがいるのです。こんな状態ですから打合せもなく、当日「抱いて子供達に触れてもらって下さい」と言っても無理かもしれません。
 次に動物の鳴き声クイズのコーナーがあります。ここでは、動物の鳴き声をテープにふきこんであり、これを子供達が聞いて当ててもらうゲームです。動物のなき声とひとくちに言っても全部で九種類あり、インドゾウから始まってライオン、オウム、アシカ、ロバ、アヒル、ヤギ、ダチョウ、チンパンジーといった動物が含まれています。飼育係である我々でもだまってテープを聞かされて、
 「これはなんの動物の鳴き声かわかりますか?」
 と質問されたら、良くてアヒル、ヤギの二種類ぐらいは正解するかもしれませんが、他の七種類特に、ロバ、ダチョウにいたっては、ほとんど動物の名前が出てこないかもしれません。
 そんなことで、このクイズの時には必ず保母さん達にヒントを出してもらうことにしています。ヒントの方法として現在では図画用紙に動物の姿絵を書いて、この絵をみながら動物の種類を当ててもらっています。保母さん達のほとんどが絵心があるのか、大変上手なものばかりですが、中には、尾のあるチンパンジーを書いてこられたことがありました。打合せの時、保母さん達に、
「チンパンジーには尾がありますか?」
と聞いてみるのですが
「さあ、どうでしたか―」
はっきりと
「尾はありませんネ!!」
と答えがかえってくることはほとんどありません。それだけ動物に対する理解度もうすいのかもしれません。そんなこともあって
「チンパンジーには尾はありませんよ。」
と念を押すことにしています。
 次に当日雨が降った場合―中止になります。実施したい団体も多くなってきた為、予備日がとれなくなってしまいました。ですから当日の朝の天候にはもっとも気をつかいます。市内及び市外においても場所により天候のずれがあり、幼稚園や保育園で雨が降っていても動物園ではそうたいしたことはなく、実施できることがあります。その為口うるさく
「朝、小雨でしたら確認のため、動物園にかならず電話して下さいネ。」
と話をすることにしています。
 さて実施当日の朝になりました。まず、目がさめて、天候はどうかなと外を見ます。青空ならひと安心、雨が強く降っていれば、今日は中止だな、とはっきりその日の予定がたちます。ところが曇り空、いまにも雨が降りそうだ、そんな時まず一七七に電話し、降水確率を聞きます。二十〜三十%なら午前中はもちそう、五〜六十%ならほとんど無理。やるかやらないか判断しなければなりません。八時すぎ、幼稚園より電話。「よし、やりましょう」
さて内容は次号をお楽しみに!!

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